1 新潟大学経済学部助教授2 明海大学経済学部専任講師Auerbach,GokhaleandKotlikoffKotlikoffKotlikoffGohkaleandAuerbachKotlikoff3現時点での年金給付のほとんどの部分は移転であり,保険料負担にみあう部分は少ない。つまり,現時点で は,移転支出だけがカウントされ,財政赤字の増大に貢献する。将来時点では,保険料負担に見合う分だけの 給付は期待できない。したがって,将来時点の給付は,政府からの返済分と税金の混合である。つまり,将来 時点では税収がカウントされ,財政赤字がその分縮小される。4麻生(1992a,1992b)によれば,公的年金制度を通じて,現在の高齢者世代に多額の所得移転が行われて いる。Ⅱ.世代別会計の基本的考え方KotlikoffKotlikoffKotlikoff5部分均衡分析の枠組みで考えている。固定資産税の増税によって,貧しくなった土地所有者が貯蓄を増やし,資本蓄積が促進され,その結果利子率が低下する効果を考えると,固定資産税の一部は,資本所有者によっても負担されることになる。6歳入・歳出という概念は国庫勘定のみに使われる概念で,歳入は借入金等の収入とは言えない負債も含め国庫に入る全ての資金を指す。ここでの受取は,歳入から資本調達のための借入金等を除外した所得にあたるものを指す。7 この統計数値は,年度ベースでしかとれないが,暦年と読み替えて比率を使用することとした。8 家計調査の教育費支出は家計が直接支出した教育費の金額であるため,義務教育では過小になっている可 能性がある。このほか,高等教育の家計負担の研究については矢野(1994)があげられるが,当該研究において も公費の負担分の帰属推計には至っていない。また,教育費支出によって受益を受けているのは,子供自身か れともその金銭的負担を担う保護者かという議論もある。ここでは,その教育費の負担者の状況が保護者 を通じてしか観察出来ないという統計上の制約もあって,保護者基準によった。9これは,統計資料作成上の技術的問題であるが,家計調査の調査の現場では,勤労世帯のうち特に共働き世帯は,調査拒否にあうことや不在のため調査表の配布回収ができないなどの事由もあって,勤労世帯数がやや低めに出てしまうとバイアスが存在するといわれている。10 平成2年の国勢調査によれば,子供が世帯主となっている高齢者は,60歳台で13.4%,70歳台では38.8%,80歳以上では,64.3%にのぼる。11 より厳密に定義するのであれば,あらゆる意味で負担をし受給をしているのは個人であるから,国勢調査の「人口」の分布を使うべきであるが,課税や給付の単位が世帯となっていることも多いため,ここでは第1段階の試みとして,世帯主の年齢で見た2人以上の世帯数分布を使用した。これで,マクロの計数を年齢階級別に割り振った際に,高齢者世帯数が過小であるために,1世帯あたりの計数が過大になってしまう問題を軽減することをねらうものである。12 これまでわれわれは法人税の負担は,全額資本に転嫁とみなし家計の資産割合に応じて配分するか,全額商品に転嫁されているとみなし,家計の消費割合で案分計算し,この両者で大きく結果が異なった。「正解」はこの両者の中間点のどこかにあると考えられるため,今回資本・労働・商品に混在させて転嫁した。13このほかの政府支出のうち貯蓄は公債収入とあわせて,固定資本形成いわゆる公共投資の源資となるが,あまねく広がる公共投資の受益を年齢階級別かつ現在から将来に向けて帰属させることは困難であるために,ここでは分析から外してある。14すなわち現在の20歳台の世代が30歳台になれば,現在価値額で今の30歳台と同じ負担と受益を負うとする。また,ここでは各個人は,今後79歳まで確実に生き80歳で死亡するとし,60歳から79歳までは同じ額の負担と受給があるとした。ただし,70~79歳は大きく割り引かれる点が60~69歳と異なる。15世帯構成率は2人以上の世帯を基準に算出したが,1人以上の世帯との乖離は一律に上乗せした。世帯構成比率は20歳台で0.0945417,30歳台で0.3240198,40歳台で0.4384215,50歳台で0.477681,60歳台で0.3726886であった。16政府投資の大部分がいわゆる「公共財」に向けられていることを考えると,公共投資が人口に比例的に増減するという仮定は,公共財の共同消費の性質にそぐわないが,ここで簡単化のために人口比例として将来投資所要額を推計することとした。17公共建造物を取り壊さずとも,NTTやJRあるいは国有地のようにその所有権を競売にかけ売却してもよい。あるいは今後,公共投資をせず,減価償却分の填補をしない方法でも,取り崩したのに近い効果が得られる。いずれにしろ,ここでは公共建造物を中心とした公共財は維持されるとした。18これは,政府部門の国債を中心とした借り入れと,社会保障基金の預り金の相殺の結果に相当する。19ただし,現存世代の負担と名目的な政府負債の額は変わりうる。20『国民経済計算年報』に示される間接税の定義は,消費税,輸入関税,酒税等の一般的な間接税のほか,国民が間接に負担した租税的な正確のある強制的徴収手数料も含まれるため注意を要す。21この改革により,改革初年1992年の税収は中立であるが,その以降の年については人口構造の変化に応じて税収は中立的となくなる。22ここでいう直間比率は『国民経済計算』体系に基づいているため,財政統計上の定義とはことなる。詳しい相違は,藤岡・渡辺ら(1994)のP.161ほか参照。23厚生省の年金改革案では年金給付を60歳から65歳に段階的に引き上げることとなっている。これは,60歳から80歳までの5歳おきの4区間のうち,1区間(25%)総当分がカットされることを示す。24ここでいう将来世代の負担がゼロとは,割引現在価値ベースにおいてゼロということで,各年においては赤字,黒字はありうる。なお追加負担がゼロとは名目的な負担が増えないということであり,社会保障水準の切り下げを通じたネットの負担─受益水準は当然悪化する。 推計結果の比較な政府消費の受益や社会保障関連給付に限定さAuerbach,AlanJ.,JagedeeshGokhale,andLaurenceJ.Kotlikoff.(1991).GenerationalAccounts:AMeaningfulAlternativetoDeficitAccounting.InBradford,David,ed.TaxPolicyAndtheEconomy.vol.5.Cambridge:MITPress.55-110.Auerbach,AlanJ.,JagedeeshGokhale,andLaurenceJ.Kotlikoff.(1992).GenerationalAccounting:ANewApproachtoUnder-standingtheEffectsofFiscalPolicyonSaving.ScandinavianJournalofEcono-mics.vol.94.No.2.303-318.Auerbach,AlanJ.,JagedeeshGokhale,andLaurenceJ.Kotlikoff.(1992).SocialSecu-rityandMedicarePolicyFromthePer-spectiveofGenerationalAccounting.InPoterba,JamesM.ed.TaxPolicyAndtheEconomy,vol.6.Cambridge:MITPress.129145.Auerbach,AlanJ.,JagedeeshGokhale,andLaurenceJ.Kotlikoff.(1994).GenerationalAccounting:AMeaningfulWaytoEvaluateFiscalPolicy.JournalofEconomicPer-spectives,vol.8.No.1.7394.Auerbach,AlanJ.,andLaurenceJ.Kotlikoff.(1987).DynamicFiscalPolicy.Cambridge:CambridgeUniversityPress.Kotlikoff,LawrenceJ.(1992).GenerationalAccountingKnowingWhoPays,andWhen,forWhatWeSpend.NewYork:TheFreePress..,....』(』(