新会社法资本金役割変化新资金调达方...

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新会社法による資本金の役割の変化と新しい資金調達方法2008年2月11日土井添めぐみ*要約本稿の目的は、平成18年度の商法改正(会社法の設立)が企業の資金調達方法をどのように変化させるのかを、法律上の資本金の役割の変化を通じて調べることです。まず、旧法の資本金の役割について、資本金は一定以上の財産を会社に保有させる役割があったことを述べました。次に、商法改正後の資本金について、資本金関連の法原則が弱められている、または、廃止されていることを、述べました。これは、商法の改正によって、昀低資本金制度が廃止されたため、資本金の債権者保護の機能が低下している、もしくは、債権者保護の役割は他のものに依存するようになりつつあると考えられます。企業の主な資金調達に銀行や信用金庫からの借入があります。従ってこれら資金供給者が企業の規模や信頼性を計るために資本金が利用されてきたものと想定します。資本金が、資金調達上の重要指標であったとすれば、この資本金の役割変化によって、企業の資金調達方法も当然に影響を受けると考えられます。企業の資金調達は、これまで銀行借入などの間接金融が中心でした。しかし、新たな資金調達方法として市場型間接金融によるものが導入されています。市場型間接金融は、直接金融と間接金融の中間的な金融手法です。銀行が融資する点では、間接金融と同じですが、融資債権を証券化して投資家に販売されます。そのため、リスクが銀行だけでなく、市場にも分担されます。この結果、金融機関(銀行)はリスクの負担が減少し、融資に余力ができます。そして、金融の円滑化につながることが期待されています。会社の信用判断として、資本金の額のみに依存するのではなく、財産状況の開示、会社財産の適切な留保が重要とされています。そのため、資本金の債権者保護の機能は相対的に低下していると考えられます。*北九州市立大学経済学部経済学科。l4211094@eco.kitakyu-u.ac.jp-1-第1節はじめに本稿の目的は、平成18年度の商法改正(会社法の設立)が企業の資金調達方法をどのように変化させるのかを、法律上の資本金の役割の変化を通じて調べることです。会社の機能をお金の流れからみると、次のように表現できます。日商簿記検定対策研究会編(2002)を参考に説明します。1会社は、株式の発行や銀行からの借り入れなどで資金を調達し、そのお金で商品や設備を買います。これに利益を上乗せして消費者や他の企業に販売し、その売り上げから費用(仕入れ代金や従業員の給与、銀行への金利など)を支払います。残金は再び翌年の仕入れや投資、株主配当金、給与などに用いられます。このようにして、会社の経営は継続していくことになります。この、企業の一定期間の経営成績や財務状態を書類にしたものを財務諸表と言います。財務諸表は、企業のあらゆる活動を「損益計算書」や「貸借対照表」などの報告書に、共通の方法で分類し、金銭表記します。共通の方法で財務諸表が作成されるため、そこに記載されている数値は、粉飾がなされていない限り、客観的です。その意味で財務諸表上の数値は、企業活動に利害関係を有する人たち(経営者、従業員、株主、銀行)にとって、企業と付き合う上での重要指標と言えます。平成18年までの日本において、企業がどのような財務諸表を作成しなければならないのかを法律面で規定していたのは、商法でした。平成18年5月、その商法が改正されました。改正の目的は、成和共同法律事務所(2005)によると以下のように説明できます。平成18年施行の商法改正は、商法第2編「会社」、有限会社法、商法特例法を新会社法として一つの法律にまとめることが目的です。また、会社法の利用者にわかりやすいよう再編成されています。主な改正の一つは、有限会社を廃止し、会社の形式を株式会社に一本化させました。有限会社は中小企業に多く採用されていたので、その規模に合わせ株式会社に関する制度の幅を広げました。具体的には、中小企業の資本金規模でも株式会社化できるよう、株式会社の昀低資本金制度が廃止されました。また、「新会社法」では定款の範囲も拡大されています。例えば、株主総会なしで、取締役会の決議のみで配当できるという制度が導入されています。この範囲拡大は会社の自主性を高めることを意図しており、特に中小企業にとっては、実態にあった定款に変更できるとされています。改正のもう一つの主要点は商法第2編、有限会社法等の各規定が再編成され、新しく会社法が創設されたことです。この新しい法律によって変更を受けたもののひとつが、財務諸表上の資本金です。1日商簿記検定対策研究会編(2002)1項(8ページ)、2項(12ページ)、13項(94、95、102ページ)を参照。-2-資本金とは、企業主が受入れた出資金を記録する勘定科目です。出資時点から現時点まで、どの程度、企業の財産が増減したのかを把握できます。箕輪(2004)によれば株式会社では、会社財産のほかには会社債権者のために担保となるものがありません。そのため、一定額の資本が必要となります。つまり、会社債権者に対しての担保力として、会社の財産的基礎(現実の財産)を確保しなければなりません。資本金は会社設立の際に出資してもらうお金ですが、出資を受けた側に返済義務はありません。2しかし、会社が倒産した場合、資本金分の資産を換金して債権者に返済するという、債権者の保護の役割があります。そのため、企業が資金調達を受ける上で重要な指標であったと考えられます。企業の主な資金調達に銀行や信用金庫からの借入があります。従ってこれら資金供給者が企業の規模や信頼性を計るために資本金が利用されてきたものと想定します。旧法では、資本金については株式会社において、1000万円以上でなければならない(第168条4項)とされていました。成和共同法律事務所(2005)12ページによると、「株式会社における株主」は「会社の債権者に対して、出資額を限度とする有限責任しか負っていない」と記述しています。これでは債権者が十分に保護されない可能性があります。そこで、会社は昀低限保有すべき財産として、設立時において出資すべき額を定められていたのです。一方、平成18年度の商法改正では、昀低資本金制度の撤廃が行われました。そのため、企業設立が容易になりました。制度撤廃の背景については第3節で説明しますが、会社設立が容易になったため、中小企業(低資本企業)の参入の増加が考えられます。新法における、この資本金制限の撤廃によって、資本金の債権者保護の機能が低下している、もしくは、債権者保護の役割は他のものに依存するようになりつつあると考えられます。資本金が従来、資金調達上の重要指標であったとすれば、この資本金の役割変化によって、企業の資金調達方法も当然に影響を受けると考えられます。本稿では、資金調達方法として、どのようなものがあるのか、中小企業向けのものを中心に調べます。昀低資本金制度が撤廃されたことなどから、中小企業向けの代替的な資金調達方法が増えていると考えられるからです。また、新しい資金調達においては、資本金が持つ意味はある程度まで変わっていると考えるべきでしょう。具体的な資金調達方法については後述します。本稿の構成は以下の通りです。本稿の目的は、資本金の役割の変化を通じて資金調達方法を調べることなので、まず、第2節で旧法での資本金の役割について、整理します。そして、改正後のものと比較するために、資本金に関する原則、制度について確認します。第3節で商法改正後の資本金について説明します。第4節で新しい資金調達方法について説明2貸借対照表において、資本は返済義務がありません。従って、資本に分類される資本金にも返済義務はありません。-3-します。そして、第5節で全体のまとめをします。第2節旧法での資本金の役割ここでは、商法や文献を参考に資本金の定義について説明します。法人の資本金は、原則として、発行済株式の発行価額の総額(株主の払込資本の額)とされています。しかし、発行価額のうち2分の1を超えない範囲で資本金とせずに資本準備金とすることができます(商法284条2項)。3株式会社は、資本金が増えすぎると税負担が大きくなります。そのため、一部を資本準備金とすることで、ある程度税負担を調整できます。また、後述しますが、資本はその額を自由に減少することができません(手続きが必要です)。資本を取り崩す際に、資本金より資本準備金の手続きの方が簡単というメリットがあります。次に、資本金に関する原則・制度について説明します。旧法では、資本金は債権者保護の役割を主なものとされていました。そこで、株式会社の資本金に関して、いくつかの法原則を、商法と箕輪(2004)第2章、成和共同法律事務所(2005)第2部を参考に以下にまとめます。4(1)資本の充実の原則会社は資本に相当する現実の財産を保持すべきとする原則。会社の設立または新株発行の際に、資本はこれに相当する財産によって、実質的に充実されなければならないとする原則。たとえば、資本を純財産額より差し引いた後でなければ利益配当ができないことです(商法290条)。(2)資本維持の原則資本を裏付ける(資本に相当する)財産が現実に維持されなければならないとする原則。たとえば、商法で定められた金額をそれぞれ利益準備金、資本準備金という項目として、積み立てなければならないことです(商法288条)。(3)資本の充実の原則・資本維持の原則の両方に関して資本額に相当する財産を実質的に保持することを要するとする原則。平成13年10月施行の商法改正により、両方とも弱められています。(4)資本不変の原則資本充実・維持の原則を確保するため、いったん確定した資本額を自由に減少することを許さないとする原則。資本充実・維持の原則が実質的な会社財産を保持するものに対し、形式的な資本額の面から、会社債権者の保護を図るものです。たとえば、資本を減少する3資本準備金:商法で積み立てが義務づけられている資本剰余金。4資本充実の原則、維持の原則、不変の原則の呼び方については、箕輪(2004)第1章による。-4-場合に債権者保護手続きが必要であることです(商法375条)。(5)昀低資本金制度商法に基づいて株式会社や有限会社を設立する際、債権者保護の目的から設立時より常に資本金として計上しておくべきとする資本金額規制のことです。株式会社においては、資本の額は1000万円を下回ることができません(商法168条4項)。平成18年施行の商法改正により、廃止されました。以上のことから、旧法での資本金は一定以上の財産を会社に保有させる役割があります。しかし、(3)、(5)にあるように、商法改正によりこれらの資本金関連の法原則が弱められている、または、廃止されています。そのことについて次節で説明します。第3節新法における資本金前節より、(ⅰ)資本の充実の原則、資本維持の原則が商法改正により弱められていることと、資本不変の原則に関して(ⅱ)昀低資本金制度が廃止されたことについて、以下のように解釈できます。(ⅰ)資本不変の原則は会社債権者の保護を図るものです。資本の充実の原則、資本維持の原則が弱められているということは、この債権者保護の役割と矛盾します。または、会社債権者の保護の形は資本金以外のものに変わったと考えられます。(ⅱ)昀低資本金制度の廃止によって、資本金1円の会社設立が可能となりました。つまり企業創業が容易となり、これまで会社を設立する際に、昀低資本金制度が障害となっていたITビジネスやベンチャー企業など、少額の手持ち資金でも会社を設立できるということです。以上のことから、会社設立時の出資金である資本金の額は重視されなくなってきていると推測できます。本節では、これら二点の変更のうち、昀低資本金制度撤廃の背景について説明します。資本金の昀低額の規制がなくなったため、株式会社の設立は増加することが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