農場から食卓までの食品の安全システム「食品の安全」は生命(いのち)をいただくマナーを基礎とする獣医公衆衛生学教授岡本嘉六北九州市保健福祉局保健医療部健康推進課平成17年度生活衛生関連研修2005年12月27日(火)食品の安全性に関して、様々な騒動が起きてきました。マスコミは「100%安全」を報道し、一部の消費者は不安を訴えてきました。その過程で、生産関係者が経済的・精神的に追い詰められ、鹿児島出身者を含む10名以上が自殺しています。ヒトの命を奪う「食品の安全性」とは、一体何でしょうか?その一方で、青少年の凶悪犯罪が数多く起きています。私には、生産者を自殺に追い込んでも何らの関心を示さず、ひたすら自分の不安を訴える姿と重なって見えます。命の尊さ、生きることの意義、他との関わり方など、人間社会の根幹が揺らいでいるのではないでしょうか?食べることは生物の基本であり、こうした不安の時代の根っ子に「食と向き合う」ことの重要性が認識され、今年の7月から「食育基本法」が施行されました。食べ物は他の生物(いきもの)であり、命をいただくことで他との関係が始まります。命をいただくマナーが「食品の安全性」の基礎となっていることを紹介し、日本社会の健全化への一助とします。・・・国民の食生活においては、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向などの問題に加え、新たな「食」の安全上の問題や、「食」の海外への依存の問題が生じており、「食」に関する情報が社会に氾濫する中で、人々は、食生活の改善の面からも、「食」の安全の確保の面からも、自ら「食」のあり方を学ぶことが求められている。また、豊かな緑と水に恵まれた自然の下で先人からはぐくまれてきた、地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあふれる日本の「食」が失われる危機にある。・・・「食育基本法」本年7月15日から施行「BSE問題に関する調査検討委員会報告」(2002年4月BSE問題に関する調査検討委員会)5)重要な個別の課題④食に関する教育いわゆる「食育」の必要性今日の食品の安全性をめぐる事態に照らし、学校教育における食品の安全性や公衆衛生及びリスク分析などに係わる基礎的知識の習得・教育を強化する必要がある。農業や食品産業など、フードチェーン全般にわたる基礎的な知識および栄養や健康に関する教育も充実させる必要がある。食品に、ゼロ・リスクはあり得ないこと、情報をもとに一人一人が選択していく能力を身に付けていくことの大切さの認識の普及が必要である。『食』と『農』の再生プラン(2002年4月11日・農林水産省)1.食の安全と安心の確保●「食の安全運動国民会議」の発足:みんなで考える「食育」と「リスクコミュニケーション」の推進・「食の安全運動国民会議」の発足(「食育」の促進):子供の時から「食」について考える習慣を身につけるよう「食」の安全、「食」の選び方や組み合わせ方などを子供たちに教える「食育」を促進します。また、広く消費者が食の安全・安心などについて自ら考える国民会議の発足などの国民運動や女性によるキャンペーンを展開します。(消費者の役割)第9条消費者は、食品の安全性の確保に関する知識と理解を深めるとともに、食品の安全性の確保に関する施策について意見を表明するように努めることによって、食品の安全性の確保に積極的な役割を果たすものとする。(食品の安全性の確保に関する教育、学習等)第19条食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、食品の安全性の確保に関する教育及び学習の振興並びに食品の安全性の確保に関する広報活動の充実により国民が食品の安全性の確保に関する知識と理解を深めるために必要な措置が講じられなければならない。「食品安全基本法」(2003年5月16日成立)小冊子「いただきますが言えた日」農水省HPにある。朝食の前に家族揃って仏壇に御参りする日本の伝統が、戦後教育によって壊されてしまった。今日の社会的不安は、精神の支えを失った無宗教のためではないか?他者への感謝ではなく、競争・攻撃を基調とする金銭関係しかなくなった社会・・・・。家族、社会、民族の絆をどこに求めたら良いのか・・・・。食に関する指導体制の整備について(答申)(2004年1月20日・中央教育審議会)「第1章基本的な考え方」では、「1食に関する指導の充実の必要性」、「2学校における食に関する指導の現状」、「3食に関する指導体制整備の方向性」が述べられ、「第2章栄養教諭制度の創設」へと繋がっていく。「1栄養教諭の職務」として、食に関する指導、学校給食の管理、食に関する指導と学校給食の管理の一体的な展開が挙げられ、それを担うために、「2栄養教諭の資質の確保」として、栄養教諭の免許状の種類及び養成の在り方、栄養教諭の上位の免許状等取得のための方策、学校栄養職員に対する措置などが書かれている。最後の「第3章食に関する指導の充実のための総合的な方策」として、学校における一体的取組、栄養教諭の効果的な活用、学校・家庭・地域社会の連携等による総合的取組が述べられている。上記の答申を受けて、「学校教育法等の一部を改正する法律」が、平成16年5月21日に公布され、平成17年4月1日から施行された。また、これに伴い、「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令」が、平成16年6月30日に公布され、平成16年7月1日から施行された。栄養教諭制度の創設に係る学校教育法等の一部を改正する法律等の施行について(通知)(2004年6月30日・文部科学省)「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(2005年6月21日・経済財政諮問会議)第3章.新しい躍動の時代を実現するための取組:少子高齢化とグローバル化を乗り切る5.人間力の強化我が国を支える基本は“人”である。今後我が国がグローバル化を乗り切り、力強く成長を持続するという観点からも、すべての人が能力を最大限に開花させうる社会の実現が不可避であり、これに向けて取組を強化していく。・・・・・さらに、食育基本法に基づき、食育推進基本計画を作成するとともに、関係行政機関等が連携し、国民運動として食育を推進する。「食育推進会議」が8月24日に発足し、総理を含めて14名の大臣と、12名の学識経験者が発表された。栄養学関係者が4名も加わっているのに対し、フードチェーンにおいて食品の安全性確保に主要な役割を果たしている獣医師はゼロであり、食育推進会議専門委員にも獣医師の名前はない。前項の関連法令等からすると、家畜保健衛生所、食肉検査所、ヒトの保健所、食品衛生監視員、医薬品業界、食品業界さらに伴侶動物や野生動物の医療を担っている獣医師こそ、学校教育現場において生命倫理を涵養する食育推進の中心に位置して当然と思われるのだが?●地球生命体の成り立ちを理解し、様々な生物種の共生ー寄生関係を良好に保ち、地球環境に優しい生活体系を目指しましょう!パート1屋久島・千年森に生きた詩人山尾三省文:舟木麻由Please旅のライブ情報誌●プリーズ)」JR九州2006年1月号病気になってお父さんはこのごろ思うのだが結局人生はこの有難うということを心から言うためにこそあったのだ有難うありがとう子供たち「足の裏踏み」より地球の誕生:約46億年前原始大気と原始海洋の誕生1991年5月普賢岳の噴火最初の生命体(原核生物)35億年前の最古の化石なし生物の光合成石灰岩CaCO3地下有機物(化石燃料)0.03%ただし増加中二酸化炭素CO2酸素O2原始大気大量起源原始地球から脱ガスその後縞状鉄鉱などの酸化物その後は大気中に蓄積成層圏のオゾンO3層現在21%緑藻類などの真核生物10億年前アオミドロパスツールの実験1862年「生物は生物からしか生まれない」大気中ガス濃度3546原始生物光合成を行うラン藻類(シアノバクテリア)2710緑藻類などの真核生物5.1脊椎動物の出現陸上植物の出現4.4脊椎動物の上陸3.7ほ乳類の出現2.1人類の出現500万年前酸素O2炭酸ガスCO2大気と水に恵まれた地球で生命が誕生し進化してきたダーウィンの著書1859年「種の起源」進化論地球にも寿命があり、地殻活動などの環境変化により絶滅した種もいる。人類は?ミラーの実験「化学進化」原始大気と放電でアミノ酸ができる地球誕生類人猿猿人原人旧人新人20005001301005040~2515~44プロコンスル類猿人からの分化ホモ・エレクトスジャワ原人北京原人ホモ・サピエンスネアンデルタール人クロマニヨン人1948年/ビクトリア湖ルシンガ島ミトコンドリアDNAの分析大脳の発達(850ml)「言語の発達・火の使用」1888年/ジャワ島/石器と火の使用1929年/中国・周口店/石器と火の使用古代ホモ・サピエンス1856年/ドイツ・ネアンデル谷/中期旧石器時代1868年/フランス/後期旧石器時代発見年/発見場所概要年代(万年前)分類110万年前アフリカを出発した原人は、地球各地に広く生活の場を求めて広がっていった。人類の進化プロコンスル:チンパンジーと人類の共通の祖先類人猿猿人原人旧人新人約5000年前、世界各地に文明が発生する。ユーフラテス川沿岸で1万2000年前の定住村落遺跡の発掘から、150種を超える植物の種子が発見された。9500年前ころ農耕は西アジア各地に広がった。大脳の発達(850ml)「言語の発達・火の使用」石器プロコンスル人口一人当たりのエネルギー消費量文明の発達は一人当たりのエネルギー消費量、および、人口の増加をもたらした。真核生物、単細胞原核生物、単細胞モネラプロティスタ植物界菌界動物界消化吸収光合成けいとうはっせいずねんとう生物の系統発生図を念頭びょうげんたい、ばいかいどうぶつにおき、病原体、媒介動物、しょくもつれんさ、せいたいけい、よぼう・食物連鎖、生態系、予防・ちりょうほうしっぺいりゅうこう治療法など、疾病の流行とじしょう関連する事象をみる。けいとうはっせいず生物の系統発生図真核生物、多細胞分解者エネルギー(生態)ピラミッド菌界生産者一次消費者二次消費者植物界動物界微生物の菌類・細菌類などが中心。生産者や消費者の遺体や排出物の有機物を無機物に分解し、もとの環境に返す。大地・大気・水太陽自分で栄養素を作る光合成植物生産者を直接食べる生物草食動物一次消費者を食べる生物肉食動物エネルギー(生態)ピラミッドたんそさんそじゅんかん炭素と酸素の循環酸素を作り出すのは植物だけであり、炭酸ガスの増加を止めるには、森を大切にすることが基本となる。光合成:炭酸ガスの炭素から、太陽エネルギーを使って、デンプン(炭水化物)を作ることちっそじゅんかん窒素の循環タンパク質を構成するアミノ酸は、窒素化合物こんりゅうきんおいしい肉を構成するアミノ酸の基となる窒素を、大気から固定してくれる根粒菌にも感謝!食べ物は、全て生き物であるみずのじゅんかん水の循環生命誕生の元となる水は、生活空間において、固体、液体、気体の三相を示し、様々な物質を溶かす不思議な力をもっている。人間の体の70%は水分であり、食べた物が消化・吸収され、血液循環に乗って細胞に供給され、老廃物を排出する上で欠かせないものである。安全でおいしい水は、どのようにしてできるのか?そのために、何をしなくてはならないのか?人間が使う水は、大循環の一部水資源も有限であり、「自然に感謝し大切に使う」ことが全ての基本「水は水道の栓をひねると出るもの」と思っていませんか?水源地が枯渇すれば、ひねっても出ないことを理解してますか?漁業者が山林保全に取り組んでいるように、安全で美味しい飲用水を確保するために、都市生活者も水源涵養の努力を!森について山尾三省森は土と樹々をかかえて永く沈黙しつつ生きている人はその森に帰る森はひとつの大きな闇であり慈悲である人はその森に帰る森の底には水が流れているその水もまた森である人はそこに帰るその森に帰る山また山の小さな村に、ある日突然立てられた一つの立て札から始まる物語‘97年度「児童福祉文化賞」(厚生大