1国立医薬品食品衛生研究所安全情報部()食品微生物関連情報---page1食品化学物質関連情報---page19【国際機関】●世界保健機関(WHO:WorldHealthOrganization)1.FoodSafetyNews,No31-15October2008(食品微生物関連記事の一部紹介)・国際保健規則(IHR)にもとづく食品由来疾患アウトブレイクの報告義務の存在ObligationstoreportoutbreaksoffoodbornediseasesundertheIHR(2005)CDCのEmergingInfectiousDiseases誌が、国際的に流通した食品が関係する2001~2007年のアウトブレイクを調査したオーストラリアの論文を掲載した(から入手可能)。著者らによると14件のアウトブレイクのうち7件(50%)がWHOへの報告義務のあるものであった。INFOSANEmergencyおよびIHR(2005)に関する情報はINFOSANInformationNoteNo.4/2007-IHR(2005)(下記サイト、6ヶ国語)から入手可能。・食品由来疾患実被害疫学リファレンスグループ(FERG)の第2回会議を2008年11月に開催−食品安全関係者の会合も同時開催SecondmeetingoftheFoodborneDiseaseBurdenEpidemiologyReferenceGroup(FERG),17-21November2008,includingamajorFoodSafetyStakeholderMeeting,20November2008,Geneva,SwitzerlandWHO主導の食品由来疾患の世界的被害実態推定の専門家グループである食品由来疾患実被害疫学リファレンスグループ(FERG:FoodborneDiseaseBurdenEpidemiology食品安全情報No.22/2008(2008.10.22)食品微生物関連情報2ReferenceGroup)は、過去12ヶ月間の活動内容を評価・査定し、初めての外部評価の結果を議論するための第2回会議を開催する。WHO事務局は、政府関係者、資金提供者、業界関係者、消費者、メディアなど、全ての主要な食品安全関係者を招待する会合をFERG会議期間中の11月20日に開催する。詳細情報は以下のサイトから入手可能。・専門家募集:微生物の抗菌剤耐性の統合サーベイランスに関するWHOの専門家グループCallforadvisers:WHOAdvisoryGrouponIntegratedSurveillanceofAntimicrobialResistanceWHO食品安全・人獣共通感染症・食品由来疾患部(FOS:DepartmentofFoodSafety,ZoonosesandFoodbornediseases)は、抗菌剤耐性統合サーベイランスに関する専門家グループ(AGISAR:AdvisoryGrouponIntegratedSurveillanceofAntimicrobialResistance)の設立準備を行っている。このグループは食品関連微生物の抗菌剤耐性(AMR:AntimicrobialResistance)のサーベイランスおよびその制圧や、加盟各国間での検査手法の統一および情報共有を目指すWHOの活動に助言を行う予定である。詳細情報は以下のサイトから入手可能。://2.イラクのコレラ―更新情報Cholera,Iraq–updateWeeklyEpidemiologicalRecord(WER)10October2008,Vol.83,No.41(pp365)イラク政府は、2008年8月20日に今年昀初のコレラ患者を報告した。9月28日時点で合計341人の患者が検査機関で確認され、5人が死亡している(致死率は1.5%)。これまでの患者の発生地域(全9県)で報告数が多かったのは、バビル(58%)、バグダッド(18%)、カルバラ(9%)の順であり、その他アンバー、バスラ、ディアラ、ディワニア、ミサンおよびナジャフの各県からも患者報告があった。また、調査中の疑い患者が31人、およびコレラの症状に類似した急性水様性下痢による死者が7人発生している。本アウトブレイクは2007年のアウトブレイクほど深刻でないと思われるが、再流行の可能性を考慮すると、今回の流行がコントロールされたとみなすには時期尚早である。また、長年にわたる水や公衆衛生の不備の改善が緊急課題となっており、安全な水や適切な公衆衛生がすべての住民に保証されない限り、コレラのアウトブレイクはイラクで繰り返し発生するであろうとしている。3関連情報は以下のサイトから入手可能。://【各国政府機関等】●米国保健福祉省(USHHS:DepartmentofHealth&HumanServices)中国、インド、欧州および南米に米国食品医薬品局の海外事務所の開設を準備中HHSPreparingtoOpenFDAOfficesinChina,India,Europe,andLatinAmericaThisYearOctober16,2008米国保健福祉省(USHHS)は、年内に中国、インド、欧州および南米に初めて米国食品医薬品局(USFDA)の海外事務所を開設すると発表した。中国から公式承認が得られたため、まず中国に開設する予定である。本年中に北京に昀初の職員を派遣し、2009年には追加する。2009年には上海と光州にも派遣し、中国全体では合計8人となる予定である。次いでインドには本年中にニューデリーに事務所を開設し、職員を1人派遣し、2009年には少なくとももう一カ所に事務所を開設し、合計で10人を派遣する計画である。インドについては公式承認を要請しているところである。FDAの派遣者は現地当局および米国に食品や医薬品を輸出している業者と協力し、技術的助言の提供、追加検査の実施、品質保証プログラムの作成の関係者への援助を行う。さらに、年内に欧州および南米に、2009年中頃までに中東にも海外事務所を開設する予定である。●米国農務省動植物衛生検査局(USDAAPHIS:DepartmentofAgriculture,AnimalandPlantHealthInspectionService)米国産豚肉に任意のトリヒナ非保有証明プログラムを設定USDAEstablishesaVoluntaryTrichinaeCertificationProgramforU.S.PorkOctober8,2008米国農務省動植物衛生検査局(USDAAPHIS)は、米国産豚肉に任意のトリヒナ非保4有証明プログラムを設定するため、規則の改正を行っている。このプログラムでは、APHISはブタのトリヒナ暴露のリスクをさけるための適正生産規範(GPP:GoodProductionPractices)に従っている豚肉生産施設に証明書を発行する。適正生産規範には施設の構造や私設の管理のほか、飼料の品質管理(原料が清潔で原料の出所が良く知られていること、保管が適切であることなど)も含まれる。この任意の証明プログラムは、生産業者にとって豚肉生産の方法および規範を標準化するうえで参考となる。また、海外市場に対し、証明を受けた農場ではトリヒナ対策が行われており、動物ごとや生産品ごとの検査は不要であることを証明するものになる。●米国疾病予防管理センター(USCDC:CentersforDiseasesControlandPrevention)1.ノロウイルスを実験感染させたヒトからのウイルスの排菌NorwalkVirusSheddingafterExperimentalHumanInfectionEmergingInfectiousDiseasesVolume14,Number10-October2008ノロウイルスは米国のウイルス性胃腸疾患の原因として昀も頻度が高い。便中に排泄されるウイルスの量および期間を把握するため、ヒトへの実験感染を行った。接種ウイルスの調製過去のノロウイルス実験感染の参加者の水様性便をスクリーニングし、高濃度のノロウイルスRNA(逆転写PCR[RT-PCR]法により>107U/mL)を含む投与に使用する株を選択した。また、現在の健康状態について当時の参加者のスクリーニングを行った(肝機能が正常範囲内、結核の皮膚反応[陰性]、胸部X線写真が正常、血清検査によりA、BおよびC型肝炎ウイルス、レトロウイルス[HIV-1,HIV-2およびヒトTリンパ球親和性ウイルス1、2]陰性、梅毒[迅速血漿レアギン検査で無反応])。接種用ウイルス(ロット42399)は、該当参加者1人からの水様性便を浄化、遠心分離、複数回のろ過(ろ過孔を段階的に小さくし、昀終的に0.45μm)を行うことによって調製し、容器封入後-80℃で保管した。実験感染プロトコル感染実験は、インフォームドコンセントが得られ、理解度テスト(testofunderstanding)に合格した健康な成人(18~50歳)の参加者に対して、2004年9月から2006年10月にかけて行った。参加適格者はさらに以下の条件を満たしていた。分泌型が陽性(陰性の場合はノロウイルス感染に抵抗性であるため)、検査機関でのスクリーニング結果が正常範囲内(肝機能、腎機能、血球数)、血清検査により肝炎ウイルスおよびHIVに陰性、重篤な慢性疾患なし、接種前3カ月間に非細菌性胃腸疾患の病歴なし、接種前1カ月間に細菌もし5くは原虫の腸内感染なし(接種前4週間のスクリーニング期間に腸内細菌培養3回、便中の虫卵、および寄生虫検査の検査結果が陰性)、より重篤なノロウイルス感染のリスクがあると考えられる者(免疫機能低下者、高齢者、小児など)と接触していない、および、他者にウイルスを伝播するリスクが高い仕事(食品関係、医療関係、航空業界関係等)に従事していないという条件を満たしていた。接種当日、参加者はBaylorCollegeofMedicineGeneralClinicalResearchCenterに入院し、様々な用量のウイルス(10倍段階希釈で4.8~4,800RT-PCRユニット)またはプラセボを夜の早い時間帯に経口接種された。参加者は昀低96時間入院し、水様性便または嘔吐が少なくとも連続して18時間みられなくなってから退院した