ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の開発に関する検討会報告書(平成19年度)平成20年2月ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の開発に関する検討会ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の開発に関する検討会報告書(平成19年度)平成20年2月ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の開発に関する検討会ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の開発に関する検討会報告書(平成19年度)目次第1章総論1.1検討目的·································································11.2検討方針·································································11.3検討体制·································································21.4検討会及び作業部会の開催状況·············································41.5今年度の検討概要·························································5第2章フィールド実験等2.1シャッター開閉による干渉性フェージング確認実験···························72.2設置時マージン検証実験···················································172.3長期間フィールド実験·····················································28第3章無線式の自動火災報知設備のあり方3.1無線式のシステム構成等···················································373.2無線式の自動火災報知設備の技術的な考え方·································40第4章消防防災分野に対するユビキタスネットワーク利活用の将来像4.1検討概要·································································434.2消防防災分野におけるユビキタスネットワークに関するアンケート調査·········454.3ユビキタスを活用した消防用設備等(主に自動火災報知設備)の検討··············47第5章まとめ5.1これまでの無線式の自動火災報知設備に係る検討·····························555.2無線式自動火災報知設備のあり方について···································565.3消防防災分野に対するユビキタスネットワーク利活用の将来像について·········56参考資料参考資料1これまでの検討概要参考資料2干渉性フィールド実験データ参考資料3回線設計検証実験データ参考資料4長期間フィールド実験データ参考資料5電子タグを用いた消防防災分野におけるユビキタスネットワークの活用におけるアンケート参考資料6火災や災害に対するユビキタスネットワークの活用におけるアンケート参考資料7-1長期戦略指針「イノベーション25」のポイント参考資料7-2長期戦略指針「イノベーション25」の概要参考資料8VHF/UHF帯における電波の有効利用に関する考え方第1章総論1第1章総論1.1検討目的自動火災報知設備は、火災を早期に発見することにより、通報、初期消火及び避難誘導などの初期対応を迅速に実施することができるようにするためのものであり、火災発生時には確実に情報伝達することが必要である。従来、自動火災報知設備の情報伝達手段としては、有線方式が用いられてきたが、近年のIT化の進展による情報技術の進歩等に伴う無線技術の向上がはかられ設備への利用化が現実的なものとなってきた。また、防火対象物の利用形態の多様化、流動化により迅速かつ弾力的に対応できる無線方式の採用が望まれている。このため、無線ネットワークによる火災警報の伝達に係る問題点を抽出するとともに、実用化にあたっての必要条件を整理することにより、新たな自動火災報知システムの技術基準等の検討を行うことを目的とする。1.2検討方針平成17年度から平成19年度の3ヶ年にかけてユビキタス機能を応用した自動火災報知設備等の必要な機能について検討を行い、技術基準の整備に資することとする。(1)平成17年度火災信号の伝達に係る問題点を抽出するとともに、無線式の感知器、中継器及び受信機に必要な機能の検討を行う。また、一般住宅、小規模共同住宅等、比較的小規模な防火対象物において火災信号が確実に伝搬するための電界強度、遮蔽物による通信への影響等について検証を行った上で、一般住宅等比較的狭い範囲で用いる機器等に係る技術基準を策定する。(2)平成18年度平成17年度の結果を踏まえ、大規模な防火対象物において無線式による自動火災報知設備その他の消防用設備等を用いる場合について、火災信号伝達等の情報伝達に係る問題点を抽出するとともに、火災信号その他の警報が確実に伝搬するための電界強度、遮蔽物による通信への影響等について検証を行い、無線方式を用いた自動火災報知設備の技術基準を策定する。(3)平成19年度火災その他災害時の多様な情報を無線ネットワーク等を用いて、防火対象物の災害弱者を含めた在館者に、的確にかつ有効に伝達する設備・機器について検討するとともに、これらの設備・機器の適切な運用について検討する。-1-21.3検討体制平成19年度の「ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の開発に関する検討」は、次の検討会及び作業部会を設置し、検討を行った。平成19年度ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の開発に関する検討会委員(順不同・敬称略)役職委員名所属委員長石井弘允日本大学理工学部電気工学科名誉教授副委員長須川修身諏訪東京理科大学システム工学部教授委員万木良章大阪市消防局予防部保安・規制担当課長委員岩崎俊電気通信大学電子工学科教授委員佐藤康雄東京消防庁予防部参事兼予防課長委員山田広利千葉市消防局予防部指導課課長委員村上晃総務省総合通信基盤局電波部基幹通信課重要無線室課長補佐委員恵美須望横浜市安全管理局予防部指導課課長委員力久修一日本消防検定協会虎ノ門事務所所長委員和田谷哲二(社)日本火災報知機工業会技術委員長事務局:総務省消防庁予防課設備専門官渡辺剛英予防課消防技術政策室主任研究官細川直史予防課設備係長鳥枝浩彰〃総務事務官氏家克広オブザーバー:作業部会ホーチキ㈱島裕史セコム㈱柴田弘幸日本消防検定協会妻鳥浩明〃中西潤-2-3平成19年度ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の必要な機能に関する検討作業部会員名簿(順不同・敬称略)役職部会員名所属主査和田谷哲二(社)日本火災報知機工業会技術委員長副主査島裕史ホーチキ㈱開発研究所センサ開発部センサ応用開発課課長副主査柴田弘幸セコム㈱技術開発本部技術管理室課長部会員上野丈司ニッタン㈱技術生産本部感知技術部製品技術課課長部会員笠井英明日本フェンオール㈱技術部開発第5グループチーフエンジニア部会員片倉辰男沖電気防災㈱福島工場標準開発部部長部会員神谷喜生アイホン㈱執行役員技術本部本部長部会員川野泰幸松下電工㈱HA・セキュリティ事業部商品企画部課長部会員嶋岡幸法ヤマトプロテック㈱中央研究所チームリーダー部会員津留裕昭(社)日本火災報知機工業会技術部部長部会員積治昭雄能美防災㈱研究開発センター感知システム研究室室長部会員成宮淳一ホーチキ㈱渉外室課長代理部会員松木繁忠日本消防検定協会試験部警報設備試験課参事部会員大場延男日本消防検定協会大阪支所警報設備検査課参事オブザーバー:総務省消防庁予防課設備専門官渡辺剛英、設備係長鳥枝浩彰規格係長井上操、総務事務官氏家克広事務局:日本消防検定協会力久修一、妻鳥浩明、中西潤、東聡-3-41.4検討会及び作業部会の開催状況(1)検討会の開催状況平成19年度ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の開発に関する検討会は以下に示す内容で全3回実施された。第1回:平成19年7月17日①平成19年度の主な論点と検討の進め方について②実験計画の概要について③ユビキタス機能の活用に関する今後の方向性について第2回:平成19年10月12日①フィールド実証実験計画について②基準検討中間報告について③ユビキタスネットワークを活用した将来像の考え方について第3回:平成20年2月19日①平成19年度報告書(案)について(2)作業部会の開催状況平成19年度ユビキタス機能を応用した高機能自動火災報知設備の必要な機能に関する検討作業部会の開催状況は次のとおりである。打合せ:平成19年6月8日第1回:平成19年7月10日第2回:平成19年7月13日第3回:平成19年8月8日第4回:平成19年8月29日第5回:平成19年9月10日第6回:平成19年10月4日第7回:平成19年11月2日第8回:平成19年11月15日第9回:平成19年11月28日第10回:平成19年12月12日第11回:平成19年12月25日第12回:平成20年1月17日第13回:平成20年1月31日第14回:平成20年2月7日-4-51.5今年度の検討概要1.5.1これまでの検討概要(参考資料1参照)(1)平成17年度は、電波法施行規則第6条第4項第3号に規定されている小電力セキュリティシステムについて、一般に広く普及している「小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備標準規格RCRSTD-30」(使用周波数:426MHz帯、空中線電力:10mW以下。以下「標準規格RCRSTD-30」という。)を無線式の自動火災報知設備に採用した場合の課題を検討し、実際にオープンサイトにおける電波伝搬損失特性の実証実験、建築材料による電波透過損失の実証実験を行った。さらに、実際のモデルハウスや小規模共同住宅における実証実験により、電波の伝搬特性を確認することで、一定の知見を得ることができた。(2)平成18年度は、一般事務所ビルやデパート、地下街などの無線式火災報知システムの使用が想定される場所にて電波の環境測定を行った。特に特定小電力セキュリティ無線局(STD-30)の帯域である426MHzに影響を与える通信や妨害波の存在を確認したが、問題となるような現象は観測されなかった。また、電波環境を測定した一般事務所ビルやデパート、地下街において実験機による無線式火災報知システムを実際に稼働させ、実環境での電界強度の変化や通信品質の確認を行った。このうち一般事務所ビル及びデパートで行なった実証実験において定期通信回数432回中1回受信できない事例が見られるとともに、地下街のシャッター開閉時に干渉性フェージング(マルチパス)により通信が途絶える事例が見られた。このため伝搬損失のマージンの取り方等について次年度の課題とした。さらに、無線通信特有の混信に着目し、無線受信機における混信排除能力(D/U比)の測定を行った。FM変調方式では電波の強い送信器の通信が優先することは知られていたが、到来電波にわずかな強度の差があれば通信が確立できることを実証実験にて確認した。(3)平成17年度及び平成18年度に実施した検討を踏まえ、平成19年3月には、火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号。以下「感知器省令」という。)、中継器の技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第18号。以下「中継器省令」という。)及び受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第19号。以下「受信機省令」という。)を改正し