1第一章日本語音声学音声学とは音声学とはコミュニケーションをするために人間が音声器官を使って出す音である「言語音」、すなわち「音声」の研究をする学問である。人間は日常の社会生活の中でさまざまな形でコミュニケーションを行っている。たとえば、ドアを叩くという動作は、部屋の外からなら「入っているか」という意味を表し、トイレなら外からは「入っているか」、中から「入っているぞ」という意味を表す。また、叩き方によっては「早く開けろ」「早く出ろ」ということにもなる。しかし、何といっても一番効率がよく、複雑な内容のことも伝えられ、日常最もよく用いられているコミュニケージョンの手段は言葉、それも話し言葉である。このような話し言葉というコミュニケーションの過程から、音声の研究は、(1)人間は筋肉などの器官をどう動かして音声を発するのか、(2)発せられた音声は空気中で物理的にどういう状態であるのか、(3)空気中を伝わってきた音声を人間はどのように知覚するのか、という三つの観点から行う必要があることがわかる。この三つの観点から見た音声の研究を、それぞれ調音音声学、音響音声学、聴覚音声学と呼ぶ。調音音声学話者を中心に考え、人が音をどのように作るかとい2う観点から音をとらえた生理学的な研究音響音声学空気中を伝わる音波の物理的な研究。聴覚音声学聴者を中心に考え、聞き取った音の認知や区別の心理学的な研究第一節入門知識1.発音器官P3(図1-1)①鼻②鼻腔びこう③鼻孔びこう④上うわ唇くちびる⑤上うわ歯ば⑥歯は茎ぐき⑦硬こう口こう蓋がい⑧軟口蓋なんこうがい⑨口蓋垂こうがいすい⑩下唇したくちびる11下歯したば12舌先したさき13舌端ぜったん14前舌面まえじためん15後舌面あとじためん⑯喉頭蓋こうとうがい⑰喉頭こうとう⑱声帯せいたい⑲気き管かん⑳食しょく道どう2.母音子音半母音接近音国際音声記号、調音位置、調音方法、調音点、調音者、有声音、無声音、有気音、無気音3.単音音声を分解して得られる最小の単位。これが集まって音節をなす。(魚さかなsakana中:喜欢xihuan)音素音素とは、音韻論で、ある特定の言語において、意味が区別される最小の音声単位である。音素は単音とは異なり、実際的な音ではなく、言語話者の心理的な印象で決められる。例えば、「サカ」と「タカ」という二つの語の違いは「サ」と「タ」3の違いである。もっと細かく見れば、「サ[sa]」と「タ[ta]」の最初の子音、[s]と[t]の違いということになる。つまり、この二つの子音の違いが語(の意味)を区別しているのである。しかし、単音が変われば、意味が変わるとは限らない。「サカ」を「saka」と発音しても、「ska」と発音しても、「坂」であることには変わりはないから、日本語では「s」と「」は意味を区別する力を持っていないのである。最小対語さいしょうついご(ミニマルペア)最小対語というのは、例えば、先ほど挙げた「サカ[saka]」と「タカ[taka]」のように、ただ一つの単音、(ここでは[s]と[t])の違いで、違う意味を表す一対の語のことをいう。「手」と「目」は、音声的な形が[te]と[me]であり、[t]と[m]が、二つの語の違いを表している最小対語である。しかし、「君」[kimi]と「蟹」[kani]は[-im-][-an-]の二つの単音が違っているので、最小対語ではない。これらの最小対語で、意味の違いを表しているのは、もちろん、共通の部分ではなく、違った単音であり、これらが、意味の違いを表す音の単位である音素の、具体的な表れである。自由異音異音のうち、/s/の異音[s]や[]のようにいつでもどこでも自由に入れ替えても語の意味の区別に関係しない異音を自由異音と呼ぶ。(即在日语中,张大嘴的[a]和不怎么张大嘴的[a]是音4位/a/的自由变体;嘴唇形状很圆的[0]和嘴唇形状不那么圆的[0]是音位/0/的自由变体;送气的[k‘]和不送气的[k]是音位/k/的自由变体)。条件異音自由異音に対し、ある一つの音が現れる音声環境にはほかの音が現れない、そしてお互い補いあってすべての可能な音声環境を穴埋めするような相補分布と言われる現れ方をする音がある。これらの音はミニマルペアを作れないのであるが、同じ音素の異音として扱う。この場合、それぞれの異音が現れる条件があらかじめ決まっているので、このような異音を条件異音と呼ぶ。(如日语拨音的例子。虽然在具体的发音中,它分别被发成[m][n][],但这是因为它所处的环境不同而造成的,[sammei](三名)[sanniN](三人)[sayyou](三号),在音韵学中,把这种在特定条件下发不同的音,而又不产生意义区别的音称作“条件变体(条件異音)”,在日语中,[m][n][]的三个发音就是因为/N/的条件变体。)演習()に適当な語句を入れなさい。人間が調音して、口から出す具体的な音の総称は(①)、個々の音は(②)と言います。それらの音を入れ替えてみて、その単語の意味が変わるかどうかを考慮に入れて、グループ分けし、体系化した抽象的なものを(③)、個々の抽象的な音の単位(④)(「意味を区別する最小の単位」)といいます。(⑤)を取り出す代表的な方法は(⑥)を作る方法です。(⑦)5とは一箇所だけ違っていて、あとはまったく同じである語対のことです。音声の側から見ると、(⑧)とは互いに入れ替えても単語の意味が変わらない(その言語を母国語とする人には同じ音だと意識される)単音がまとまったものとみなすことができますが、逆に、音韻の側から見ると、ある(⑨)は実際に調音される(実現される)と、いろいろな単音に姿を変えて、口から出てくるというふうに言えます。この時、このいろいろな単音はその音素の(⑩)と言います。中国語を母語とする日本語学習者は破裂音はれつおんの有声と無声を誤ってしまいます。なぜでしょうか。破裂音、例えば、両唇りょうくちびるの破裂音には有声音[b]と無声音[p]があり、無声破裂音には有気音[p]と無気音[p]があります。①音声②単音③音韻④音素⑤音素⑥ミニマルペア⑦ミニマルペア⑧音素⑨音素⑩異音第二節音節とモーラ音節一まとまりに発音される最小の単位。そもそも音節とは何かということになると、いまだにはっきり定義できていないのが実情である。一応、区切って発音できる最小の音声の単位としておくが、その中に聞こえの大きなものを一つ含んで6いるのが普通である。短音节长音节开音节闭音节归纳起来,现代日语的音节(拍)的构造一共有如下5种形式(C表示辅音,V表示元音,S表示半元音或半辅音)。A./V/由元音音素构成(ア行假名·长音)B./CV/由辅音音素+元音音素构成(カガサザ等各行假名)C./SV/由半元音(半辅音)音素+元音音素构成(ャ行假名・ワ)D./CSV/由辅音音素+半元音(半辅音)音素+元音音素构成(拗音)E./C/由特殊音素构成(拨音ン・促音ッ)モーラ音韻論上の単位。1子音音素と1短母音音素とを合わせたものと等しい長さの音素結合。拍。日本語の「おばさん」「おばあさん」などは上に見た音節の分け方とは別に「お・ば・さ・ん」、「お・ば・あ・さ・ん」のようにも分けられる。音節は音の連続をいくつかのまとまりに分けた分節的単位であるが、この分け方は、拍(もしくはモーラ)と呼ばれる単位によるものである。音節による区切り拍(モーラ)による区切りお/ば/さんお・ば・さ・んお/ばあ/さんお・ば・あ・さ・んさ/かさ・かさっ/かさ・っ・か7か/らか・らか/らいか・ら・い第三節プロソディ(韵律)アクセント(单词的声调)、イントネーション(句子的语调)、プロミネンス(强调重音)、文アクセント(句重音)の四つに焦点を絞る。一、アクセント1、定義アクセントとは「①個々の語について、②社会的習慣として恣意的に決まっている、③相対的な④高さ(または強さ)の配置」のことである。2、アクセントとトーン3、アクセントのタイプ