第三課価格条件第三節貿易条件の概説(1)外国語学院張高旗2010.10構成•復習•第三節貿易条件の概説(1)一、工場渡し条件(EXW=ExWorks,…namedplace)二、運送人渡し条件(FCA=FreeCarrier,…namedplace)三、船側渡し条件(FAS=FreeAlongsideShip,…namedportofshipment)四、本船渡し条件(FOB=FreeonBoard,…namedportofshipment)•宿題一、E類型の条件•工場渡し条件(EXW=ExWorks,…namedplace)•輸出地の工場渡し価格のこと(現場渡し条件)をいい、•輸出地における売主の工場または倉庫(売買目的物が現に所在している場所)で現品引渡しが行われる売買条件である。工場渡し条件(EXW)•売主は、約定の引渡期間内に、約定品の現存場所で買主に引渡すことにより、その物品の危険も、また原則としてその所有権も、あわせて買主に帰属させることになる。•その後の積込費、諸検査料などその他のいっさいの費用は買主の負担となる。•また、輸出通関手続きおよび運送契約、もしくは保険契約の結びも売主の義務とされていない。代表例•農産物なら「農場渡し」(Ex-Plantation)、鉱産品なら「鉱業所渡し」や「山元渡し」(Ex-Mine)、小売商品なら「店頭渡し」(Ex-Store)および売手倉庫渡し(Ex-WarehouseorEx-Godown)などである。•この条件は売主にとっては、あらゆる売買条件のうちで最も責任の軽い取引条件で、如何なる運送形態にも適用されるべき条件である。二、F類型の条件1.運送人渡し条件(FCA=FreeCarrier,…namedplace)•フリー・キャリアとは、売主が物品を指定の積出地の指定場所において、キャリア(運送人)の管理下に引き渡したとき、売主の責任がフリになる条件である。•売主は輸出通関手続を行うが、運送契約および保険契約の締結は売主の義務とされていない。1.運送人渡し条件(FCA=FreeCarrier,…namedplace)•貨物を運送人に引渡したときをもって義務を履行したことになる点を除けば、海上FOBの主要原則と同じて、複合運送FOBともいえる。•買契約の締結ときに物品引渡しの指定場所が決まらなかったとき、当事者は、運送人が物品を自己の管理下に引き取るべき場所または地点を指示しなければならない。運送人渡し条件(FCA=FreeCarrier,…namedplace)•物品の滅失または損傷の危険は、当然に運送人に引き渡された時点をもって売主から買主に移転することになる。•この条件はあらゆる運送形態に適用されるものである。2.船側渡し条件(FAS=FreeAlongsideShip,…namedportofshipment)•船側渡しとは、約定商品を輸出港における本船の船側において引渡す条件である。•船側とは、本船の荷積み索具(デリック)が届くところ、つまり荷積み可能な場所である。•そこが売主と買主の分岐点であって、船側より積込みおよび以降のすべての費用は買主の負担となる。売主の責任が解除される。•この条件は、海上もしくは内陸水路輸送に関してだけ使用できる。この条件はアメリカでよく使用される取引である。船側渡し条件(FAS)•買主の義務としては、本船の船名および船積荷役の行われる錨地ならびに引渡し期日など必要事項を売主に通知しなければならない。•売主の義務について、インコタームズでは、輸出のために必要な輸出許可の取得や通関手続きは、外国にある買主にとっては困難なことが多いので、•買主の要請があれば、売主は買主に代わって、それらの手続きをしてやる追加義務を負うのが普通である。3.本船渡し条件(FOB=FreeonBoard,…namedportofshipment)•本船渡し条件は積地渡し条件に属する貿易条件の一つで、売主としては約定品を買主の指定した本船甲板上(OnBoard)に積み込めば、その責任は解除されて、その後の費用または危険の負担は買主に移行する。「輸出港本船積込渡値段」ともよばれる。•FOBのあとに通常、船積港の名を連記し、貿易実務上もっとも頻繁に出てくる用語である。FOB:売主の義務Ⅰ、約定の時日または期間内に、指定の船積港におけるその港の慣行により、買主の指定した船舶に物品を引き渡し、かつ買主に対して遅滞なく、当該物品が本船に引き渡された旨を通知しなければならない。Ⅱ、物品が指定船積港における本船の舷側欄干(ShipsRail)を有効に通過する時まで、当該物品のすべての費用と危険を負担しなければならない。FOB:売主の義務Ⅲ、自己の危険と費用で、輸出通関手続きを行い、輸出承認書またはその物品の輸出に必要なるその他の政府許可証を取得しなければならない。Ⅳ、自己の費用により指定された本船に物品の引渡しを立証する慣用的無故障の船積証券(CleanB/L)または相応の電子メッセージを提供しなければならない。Ⅴ、買主の依頼により、買主に付保に必要になる情報を提供しなければならない。FOB:買主の義務Ⅰ、売買契約に適合する物品と書類を受領し、かつ契約に定められたとおりの代金を支払わなければならない。Ⅱ、買主は自己の費用をもって、ある船舶を用船するか、またはある船舶の必要な船腹を予約し、かつ売主に対して、当該船舶の名称、荷役錨地および本船への引渡日に関して、正しい通知を与えならればならない。Ⅲ、物品が指定船積港における本船の船側欄干を有効に通過した時から、その物品に関する所有の費用と危険を負担しなければならない。注意事項•大ざっぱな計算方法としては、通関業者指定の倉庫まで輸出品を運んだ値段に船積費用(ShippingCharge)をプラスすればよいわけである。••この船積費用は、貨物の種類や船積みの形態(岸壁横付けの本船に積み込む場合、艀回漕料は不要となる)によって異なる。輸出検査を必要としない商品では検査料が省ける。•本船に積み込まれた貨物は、ステベによって船内で積付けの作業が行われるが、この船内荷役費用は、定期船の場合は運賃の中に含まれるので、輸出業者は負担する必要はない。•ただし、船積みまでの貨物保険は是非ともかけておくべきである。4.アメリカの貿易慣習P67•アメリカではインコタームズとまったく無関係に彼ら自身で解釈し、発展させてきた用語がある。米国式FOB。•現行の「改正米国貿易定義」においては、六種類ものFOBが規定されておる。•FOBというのであるから、輸出港の本船渡しの意味がなくなってくる。•例:FOB・Factoryーー工場渡し、FOB・Warehouseーー倉庫渡しとなる。注意点1.「改正米国貿易定義」では、FOBBoardは広義の運送機関一般として解釈され、いわば運送機関への「持込み渡し」の意味で用いられている。2.一般に理解される輸出港本船渡し条件のFOBを特にFOBVesselという新語を採用している。3.なお、FOBを輸入国の指定地までの貨物引渡しとして解釈する場合もあるので、注意を要する。4.カナダまたは中・南米では、米国式の用語も準拠される会社もあるので、「Vessel」の有無を確認することが肝要である。5.要するに、対米貿易にはインコタームズによる旨を明記した方がよい。三、C類型の条件1.運賃込み条件(CFR=CostandFreight,…namedportofdestination)•CFR条件とは、輸出港における『本船渡し』(FOB)の価格に仕向港までの運賃を加えた価格による貿易条件である。•海上保険料が除かれる以外はCIF条件と変わらない。•CFRは輸出地渡し条件で船舶運送のみに適用される。運賃込み条件(CFR)•CFR条件では、売主と買主の責任範囲も所有権の移行する時点もFOBと同じであるが、•運賃が売主の負担となり、貨物の輸出通関手続きも売主の義務とされている。•この条件の取引は、国際収支の悪い中南米および東南アジアに向けの輸出に多い。2.運賃保険料込み条件(CIF=CostInsuranceandFreight,…namedportofdestination)•運賃保険料込み条件は、CFR条件に保険料を加算する条件であって、国際取引上、特に個品輸送においては主流をなす貿易条件である。•ここでのCという略語が表示するコストというのは、一般に用いられている「原価」の意味でなく、CIF価格の算定の基本となるFOB価格のことである。•CFRのCも同様売主の義務(SellerMust)(1)①売主は、自己の費用をもって船腹を獲得するために海運業者と運送契約を結び、約束の船積期日または定められた期間内に貨物を船積みし、運賃を支払って船荷証券(B/L)を入手し、船積貨物に対して信用ある保険会社と保険契約を結んで、輸送中の船貨をその危険から保護しなければならない。②自己の費用をもって、輸出通関手続きを行い、輸出許可書またはその物品の輸出に必要なるそのほかの政府認証を提供しなければならない。売主の義務(SellerMust)(2)③船積港にて、本船の舷側欄干を有効に通過した時までのいっさいの危険を負担しなければならない。④買主に無故障船積船荷証券、商業インボイスならびに保険証券または相応の電子メッセージを提供しなければならない。買主の義務(BuyerMust)①契約に適合する貨物ならびに書類を受領し、貨物代金を支払わなければならない。②運賃と保険料を除き、貨物運送中のいっさいの費用および荷卸し費用を負担しなければならない。③船積港における本船の舷側欄干を有効に通過した時よりのいっさいの危険を負担しなければならない。④輸入通関手続を行わなければならない。CIF条件まとめ•売主は仕向港までの運送契約を結び、約定期間内に船積みを完了させるだけでなく、船積み後の危険に対して、海上保険契約を結び、船積書類を整えて、買主に提供する義務を負う。•これに対して、買主は船積み以後の約定品に関するいっさいの危険を負担し、船積書類と引き換えに代金を支払う義務を負う。•CIF条件は買主にとってはこのように手間がかからない利点があるため、FOBより歓迎される。FOB条件との関係①CIF条件(またはCFR)では、仕向港までの運賃を売手が負担するからといって、決して貨物を指定の仕向港で引き渡すことを条件づけた契約ではない。CIF条件、FOB条件およびCFR条件は、いずれも輸出地渡しの条件であって、揚地条件ではないのである。このことをまず銘記しておくべきである。貨物の所有権と危険の移転については、FOB条件の場合と同様に、船積港の本船上となる。FOB条件との関係②価格から見れば、CIFYOKOHAMAといっても、売主のリスクは、船積港、例えば上海港の本船欄干を切った時点や終了する。ただし、FOB条件では費用とリスク分岐点は同一の時点であるのに対し、CIF条件とCFR条件では費用とリスクの分岐点は異なる。FOB条件との関係③CIF条件では、売主は運賃と保険料を支払って船荷証券と保険証券を入手するが、これらは「買主のため」ということを主眼として、商取引上合理的と認められる処置とられるところに特徴があり、運送契約も保険契約もいっさい買手の責任において扱われるFOB条件とは、この点に本質的な相違がある。FOB条件との関係④CIF、CFRとFOB条件は、いずれも船会社より船荷証券(B/L)という船積みを証明し、その証明書と引き換えに目的地で貨物を渡すことを約束した書類(有価証券)を渡される。また、その書類と引き換えに貨物代金を回収する。いわゆる書類を渡す場合の建値である。特にCIF条件の場合は貨物売買というよりも、むしろ書類売買のことであり、ある意味では、書類が貨物よりも大切なものであるといえる。FOB条件との関係⑤CIF契約においては、売主が買主に引き渡すべき船積書類は、船