第七課手紙と封筒の書き方一手紙文の特質二手紙文の種類三手紙文の基本的な構成四手紙の格式と慣用語五手紙を書く要領六封筒の書き方一、手紙文の特質一口に言えば、手紙文は所用のために特定の相手に宛てて書き送る文章である。書き手の意図を読み手に正確に伝達することが、手紙文において第一に必要な条件である。書き手と読み手との間に必ずある特定の関係が成立している。その関係を正しく反映することが手紙文の第二の必要条件である。つまり、手紙文は伝達性と社交性という二つの性質をもっている文章である。二、手紙文の種類内容に応じて、①用件を主とするもの(例えば、依頼・通知・報告・勧誘・お礼・お詫び・お祝い)②社交を主とするもの(例えば、挨拶・年賀・見舞いなど)書き手に応じて、①個人の立場で書くもの(私信)②団体の立場で書くもの(公用、社用など)形式上から分けると、手紙、電報、テレックス、ファックス、電子メール三手紙文の基本的な構成手紙文の一般的な形式を構成する要素は、細かく示すと次のように書く順序に並べておく。1、前文①頭語②時候の挨拶③相手の安否を尋ねる④こちらの様子を知らせる⑤感謝や侘びなどを加える。2、主文⑥起こし言葉⑦本文3、末文⑧終わりの挨拶⑨別れや伝言の挨拶⑩結語4、後付⑪日付⑫署名⑬宛名5、副文⑭例文四、手紙の格式と慣用語1、頭語普通の場合――拝啓・拝呈・啓白一筆申し上げます(女用)改まった場合――謹啓・謹呈・粛啓・謹んで申し上げます(女用)親しい間柄の場合――xx先生(様・さん・君・ちゃん)急ぎの場合――急啓・急呈・取り急ぎ申し上げます(女用)返事の時――拝復・復啓・敬復お手紙拝啓いたしました(女用)お手紙承りました。(女用)取り急ぎご返事差し上げます。(女用)初めての相手の時――突然で失礼とは存じますが・突然手紙をもって申し上げます失礼お許しください。2、時候の挨拶例春―ようやく春めいて日増しに暖かく、庭先の桃のつぼみも膨らんでまいります。花曇りの昨今、何となくのどかな雰囲気ですが。窓によりかかって花吹雪の校庭を眺めています。花にかわって若葉の緑が美しい季節ですが夏―薫風さわやかな季節になりましたうっとうしい梅雨空がつづきます日中はうだるような暑さですが朝夕はいくらかしのぎやすくなりました秋―雲の流れにどことなく秋の気配が感じられます灯火のもと読書に親しむ候になります山々もすっかり秋の装いとなり、紅葉の色が燃えるようです。朝晩めっきり冷え込んでまいりました冬―窓打つ落ち葉の音も身に沁むころとなりました寒気いよいよ厳しい折から朝日にきらめく軒のつららが冬来たりなば春遠からじとか3、相手の安否を尋ねる言葉の例お元気ですかお元気でいらっしゃいますかみなさんお変わりございませんかその後いかがお過ごしでしょうかいよいよご健勝のこととお喜び申し上げます4、こちらの様子を知らせる言葉の例おかげさまで、変わりなく過ごしております。おかげさまで、こちらもみんなお元気ですから、ご安心ください。私どもも一同健康に毎日を送っております。5、感謝や詫びなどの言葉の例いつもお世話さまになりました日頃何かとお心をお掛けいただき、ありがたく厚く御礼申し上げます平素のご無沙汰お許しください久しきご無沙汰恐縮に存じております注意:特に急ぐ時は、「前文」を省略することがある。その場合は「前略」を使う。6、起こし言葉(継続の言葉)さて・つきましては・ところで・実は・この度など7、本文(用件)手紙の中心となす部分である。伝えたい事柄を誠意を込めて要点を分かりやすくまとめて書く。複雑な内容の場合には箇条書きにしてもよい。8、終わりの挨拶の例まずはお願い(御礼・お見舞い・お祝い・お知らせ)までまずは取り急ぎ用件のみ申し上げます今後ともご指導(ご教示・ご鞭撻)のほどお願い申し上げますではくれぐれもよろしくお願いします9、別れや伝言の挨拶の例時節柄なおいっそうご自愛くださいご健康(ご多幸)お祈り申し上げます皆様によろしくお伝えください末筆ながら奥様によろしくご伝言のほど願い上げます10、結語「頭語」の言葉に合わせて結語を使う。拝啓・謹啓・啓白など――敬具・敬白など女性の場合は「かしこ」を使う前略・冠省――草々xxさん・君――さようなら普通、結語は末文の行の最後に書く。11、日付普通、月日だけを書く。その場合、末文の次の行の頭よりすこし下げで書く。12、署名日付の次の行の中央よりすこし下げて、自分の姓名を書く。13、宛名署名の次の行の頭の部分から、相手の氏名を書く。氏名の後につける敬称は普通「様」を使う。特殊な場合、友達には「さん」「君」、先生には「先生」、上司には「部長」「社長」など、公用文などでは「殿」、団体には「御中」を用いる。14、副文本文で言わなかったことや書き忘れてしまって後は気づいたことを宛名の次の行から書く。「追伸、二伸、追白」などを使う内容はその後に一字空けて簡単に書き添える。五手紙を書く要領1、型にとらわれすぎないようにすること。2、用件は簡潔に、重点を明瞭に相手に伝えること。①短い文章を気軽に書く習慣をつけなければならない。②複雑な用件の場合、まずメモして要点を整理してから順序を立てて書くことである③事務的な用件は、要点を箇条書きにするのがよい。3、自己の人格を手紙に反映すること。4、辞書を手元にして原稿を書き、書き終えたら必ず読み返して清書する。5、誠実に礼儀と親しみを込めて書くこと。封筒はいろいろあるが、普通白無地のがよい。模様いりは友達用で、茶色のハトロン封筒は公的事務用である。六封筒の書き方表書きは、受け取り人の住所(宛先)と氏名(宛名)を書く一般には、住所は一行に書き揃えるが、どうしても二行になる場合は市町村あるいは最後の番地で第一行を切り、ビルの名前や部屋番号などを二行目の最後に書く。宛名は中央に大きな文字ではっきりと正確に書く。封筒の宛名は必ずフルネームに敬称をつける。目下の人でも普通は「様」をつけ、「さん」とか「君」とか「ちゃん」などは見られない。連名の場合は上位の人を先に中央に書き、下位の人をその下(縦書きは左)に書き並べ、それぞれ敬称をつける。封筒用脇付けを用いる場合、急ぐ時の「至急」、宛名の人物にのみ開封してもらいたい時の「親展」などは敬称の下(縦書きは左)に添えて書く。受取人の立ち寄り先や関係ある場所宛に送る場合は受取人の左上(縦書きは右肩)に、あるいは受取人の前に機関名、会社名、場合によって委託人姓名を書き、その後「気付」という語を書き付ける。例えば、「xx会社気付山田太郎様」或いは「山川様気付佐藤宗助様」のように裏書きは、差出人の住所と氏名を書く継ぎ目を中心に上(縦書きは右)に住所、下(縦書きは左)に氏名を書くのだが、両方とも下側(縦書きは左)に書いてもよい。普通住所を一行、氏名を一行を書く。封を閉じる印に普通は「メ」「封」「締」「緘」を書く。