改正建築基準法に伴う確認検査業務についてForthebenefitofbusinessandpeopleビューローベリタスジャパン株式会社2007年6月26日改訂版1SUMMARYⅠ構造計算書偽装問題で明らかになった課題とそれに対する対応Ⅱ建築基準法の改正について1改正法の概要2構造計算適合性判定3確認検査の指針4新中間検査の導入5審査期間6罰則の強化7改正法の適用時期8確認審査・検査の手数料9申請書類や提出書類の変更Ⅲ建築士法の改正についてⅣ特定住宅築瑕疵担保責任の履行の確保に関する法律案-1-Ⅰ.構造計算書偽装問題等で明らかになった課題とそれに対する対応構造計算書偽装問題等で明らかになった課題Ⅰ.建築基準法等の一部改正(第164回通常国会)Ⅱ.建築士法等の一部改正(第165回臨時国会)Ⅲ.特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案■建築確認・検査の課題・複数の特定行政庁、指定確認検査機関において偽装が見逃された・今回の偽装の一部は、迅速な審査で偽装を見破ることは困難・建築士が設計を行うことで審査省略される木造住宅において構造耐力上の違法行為があった■指定確認検査機関の課題・指定確認検査機関の要件強化が必要・指定確認検査機関の監督強化が必要■建築士の資質・能力の課題・元請建築士の能力不足等■建築設計の専門分化の課題・構造・設備設計の専門分化が進み、設計者の責任分担が不明確■建築士事務所の課題・重層的な業務実施体制が常態化し、建築士事務所の業務適正化が必要■違法行為に対する罰則等の課題・違法行為に対する罰則等が不十分■瑕疵担保責任履行の実効性の課題・住宅品確法により、売主等に対し、10年間の瑕疵担保責任が義務付けられたが、売主倒産時に、これが履行されず、住宅所有者が極めて不安定な状態におかれた◆建築確認・検査の厳格化・高度な構造計算を要する一定高さ以上等の建築物について、構造計算適合性判定の義務付け・3階建て以上の共同住宅について中間検査の義務付け・建築確認・検査の指針の策定及び公表◆指定確認検査機関の業務の適正化・指定要件の強化(損害賠償能力、公正中立要件等)・特定行政庁に立入検査権限を付与・指定確認検査機関に関する情報開示(監督命令等)◆建築士等の業務の適正化・名義貸し、違反行為の指示等の禁止・確認申請書等に設計を担当した全ての建築士の氏名等の記載を義務付け・建築士事務所の業務実績、所属建築士の氏名等を毎年度知事に報告、知事による当該書類の閲覧◆罰則の強化等・建築士等に対する罰則の大幅な強化等・処分を受けた建築士の氏名及び建築士事務所の名称等の公表◆住宅の売主等の瑕疵担保責任の履行に関する情報開示・宅建業者等に対し、契約締結前に保険加入の有無等について相手方への説明を義務付け◆小規模木造住宅に係る構造関係規定の審査省略見直し・専門能力を有する建築士が設計した場合のみ省略◆建築士の資質・能力の向上・建築士に対する定期講習の受講義務付け等◆高度な専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化・構造設計一級建築士等による法適合チェック義務付け◆設計・工事監理業務の適正化等・管理建築士の要件強化、重要事項説明の義務付け等・一定の建築設計等について一括再委託の全面的禁止・建築士名簿の閲覧◆団体による自律的な監督体制の確立・建築士事務所協会等の法定化等◆住宅の売主等の瑕疵担保責任の履行の実効を確保するための保険や供託等の仕組みを活用した資力確保措置の義務付け消費者保護の課題建築士制度の課題建築行政の課題-2-Ⅱ.建築基準法の改正について1.改正の概要◆今回の基準法改正の主なポイント(1)構造基準の規定化構造耐力規定(法第20条)が改正され、建築物の区分等によりそれぞれの構造方法と構造基準が定められました。これに伴い構造耐力規定にかかる政令・関係告示が改正されます。このため、構造基準が明確になり厳しくなります。(2)構造計算適合性判定の導入一定の建築物について、確認申請の際に都道府県知事または知事が指定した指定構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定が必要となります。(3)確認検査の指針の策定確認の審査及び検査は、国の定めた指針に従って行なうようになります。(4)構造計算プログラム構造計算プログラムが新たに定義され、大臣認定の内容が変更されます。法の施行日以降はこの新認定プログラムのみが大臣認定プログラムとなります。(5)新中間検査の義務化階数が3以上の共同住宅について全国共通で中間検査が義務付けられます。(6)指定確認検査機関の要件の厳格化指定確認検査機関の要件が厳格化されるとともに、確認済証、検査済証を交付した際に、特定行政庁に確認審査報告書、中間・完了検査報告書を提出することになります。(7)確認審査の審査期間の延長確認申請の審査期間が延長されます。(8)申請書類や提出書類の改変施行規則の変更により、申請書類や提出図書について変更があります。(9)法違反に対する罰則の強化基準法、建築士法とも大幅に罰則が強化されます。-3-2.構造計算適合性判定(1)構造計算適合性判定者都道府県知事または知事の指定した構造計算適合性判定機関(2)判定方法具体的には、意匠図、構造図、構造計算書により①構造図に異常・不自然な箇所のないこと②建築計画が計算式の適用方法の範囲内(大臣認定プログラムの場合、プログラムの適用範囲内)であり、計算に用いる数値の設定(データの入力)が適切であること③モデル化が適切であること④構造計算書の固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風圧力及び地震力の値が、適切であること⑤構造計算の応力算定結果、断面算定結果、剛性率・偏心率、構造特性係数等に異常・不自然なものがないことを確認します。大臣認定プログラムを用いたものはモデル化が適切であることを確認した上で、提出されたデータを再入力・再計算し、計算結果との照合および不整合の有無の確認を行います。(3)判定手数料確認申請手数料に加算して請求されます。(4)構造計算適合性判定が必要な建物①木造で、高さが13m超え又は軒の高さが9mを超えるもの②鉄骨造で地上階数が4以上のもの③鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造で、高さが20mを超えるもの④地上階数3以下の鉄骨造で、高さが13m超え又は軒の高さが9mを超えるもの等です。詳しくは別表1のとおりです。なお、上記以外の建築物でも許容応力度等計算(ルート2)や保有水平耐力計算(ルート3)又は限界耐力計算を行なったものや、許容応力度計算(ルート1)で改正法の大臣認定プログラムによるものは構造計算適合性判定が必要となります。なお、構造計算適合性判定の対象建築物及び指定確認検査機関と構造計算適合性判定機関の審査事項の基本的な考え方は以下のとおりです。(別表1、別表2)-4-構造計算適合性判定の対象建築物建築基準法(構造耐力)第二十条(略)一(略)二高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号に掲げる建築物(高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。)次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。イ当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、地震力によつて建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。ロ前号に定める基準に適合すること。三高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。)次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。イ当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。ロ前二号に定める基準のいずれかに適合すること。四(略)-5-建築基準法施行令(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物等に準ずる建築物)第三十六条の二法第二十条第二号の政令で定める建築物は、次に掲げる建築物とする。一地階を除く階数が四以上である組積造又は補強コンクリートブロック造の建築物二地階を除く階数が三以下である鉄骨造の建築物であって、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの三鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造とを併用する建築物であって、高さが二十メートルを超えるもの四木造、組積造、補強コンクリートブロック造若しくは鉄骨造のうち二以上の構造を併用する建築物又はこれらの構造のうち一以上の構造と鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨鉄筋コンクリート造とを併用する建築物であって、次のイ又はロのいずれかに該当するものイ地階を除く階数が四以上である建築物ロ高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超える建築物五前各号に掲げるもののほか、その安全性を確かめるために地震力によって地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することが必要であるものとして、構造又は規模を限って国土交通大臣が指定する建築物【解説】構造計算適合性判定の対象となる建築物は、高さが60mを超える建築物(超高層建築物)以外の建築物で、木造で高さ13m又は軒高9mを超えるもの、鉄骨造で4階以上のもの、鉄筋コンクリート造で高さ20mを超えるものなど、法第20条第二号及び令第36条の2第一号から第四号までに規定されている建築物のほか、令第36条の2第五号に基づく告示(平成19年国土交通大臣告示第593号)により対象となる建築物を定めている。詳細は、次の表に示すとおりである。ただし、建築物の構造、規模等にかかわらず、許容応力度等計算(ルート2)、保有水平耐力計算(ルート3)又は限界耐力計算(これらと同等以上に安全性を確かめることができる構造計算を含む。)を行ったもの、これらの構造計算又は許容応力度計算(ルート1)で、大臣認定プログラムによるものについては、構造計算適合性判定が必要とされており、一方、時刻暦応答解析によるものについては、個別に性能評価を受けた上で、大臣認定を取得することとなっているため、構造計算適合性判定は不要となる。-6-別表1構造計算適合性判定の対象建築物構造の種別該当する建築物木造木造建築物で高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの鉄骨造以下のいずれかに該当するもの・地階を除く階数が4以上であるもの・高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの・架構を構成する柱の相互の間隔が6m(地階を除く階数が2以下の建築物で各階の偏心率が100分の15以下であること等の条件に適合することが確かめられたものにあっては12m)を超えるもの(適判建築物告示第一号ロ)・延べ面積が500㎡(平屋建ての建築物で上記の条件に適合することが確かめられたものにあっては、3,000㎡)を超えるもの(適判建築物告示第一号ロ)・地震力の標準せん断力係数を0.3に割り増して許容応力度計算をした場合に安全であることが確かめられたもの以外のもの(適判建築物告示第一号イ及びロ)・水平力を負担する筋かいの軸部が降伏する場合において当該筋かいの端部