日本文学史(近世)

日本文学史近世文学•時代区分江戸幕府創設(1603)ーー大政奉還(1867)•文学背景平和の到来は文化、経済の発達を促し、寺子屋などでの教育や木版印刷の普及もあって、文学の読者層が広がった。一部の特権階級が占有していた文学を一般庶民に行き渡った。小説•前期(上方文学期)•近世小説の誕生•仮名草子:近世初期、教訓や娯楽などのために作られた仮名書きの読み物を仮名草子という。•浅井了意:浮世物語、伽婢子•安楽庵策伝:醒睡笑•如儡子:可笑記•浮世草子:当代の享楽生活や好色生活などを扱った写実的な風俗小説として、町人を対象とした通俗的な小説である。•その第一作は井原西鶴の《好色一代男》で、真に近世的な小説がここに誕生した。•江島其碩:傾城禁短気、世間子息気質(八文字屋本:京都の書店八文字屋が出版した浮世草子。八文字屋は江島其碩らの浮世草子を多く刊行したことから、八文字屋本を後期浮世草子の総称にも用いる。)•井原西鶴•はじめ談林の俳諧師として活躍した西鶴は《好色一代男》の刊行後、浮世草子を次々と発表した。西鶴の浮世草子は好色物、町人物、武家物、雑話物に大別される。俳諧の手法をとりいれた自由な口語文体で、人間性の解放を歌いあげた。•後期(江戸文学期)•小説の変遷•田沼意次が権勢をふるった安永·天明期、積極財政下での享楽的な雰囲気のもと、主に武士階級の知識人層から、余技として書き手となる者が多く出た。こうした中で、趣味的、遊戯的でありながら理知的な視点をも備えた戯作文学が興る。(戯作文学:近世後期の読本、洒落本、滑稽本、人情本、黄表紙、合巻などの小説類)•その後、松平定信が寛政の改革を断行し、戯作文学は風紀を乱すとして弾圧されたが、化政期に回復する。弾圧を恐れて武士階級が手を引いたために知的さが薄れ、体制に迎合道徳的なものや卑俗な大衆趣味に堕落したものなど、わかりやすいものが主流となった。小説は寛政の改革の前後で大きく様変わりするのである。•読本:浮世草子にかわって、18世紀半ばごろに上方に登場し、のち江戸を中心に広まった、文を読むことを主とした怪異あるいは伝奇的な小説である。上方中心の前期は怪異短編小説が主流で、江戸中心の後期は長編伝奇小説として発達した。•都賀庭鐘が中国の白話小説を翻案したのが読本の始まりとされる。•最初の読本:英草紙•読本の始祖:都賀庭鐘の《繁野話》•上方中心の前期•建部綾足:西山物語•上田秋成:雨月物語•江戸中心の後期•山東京伝:忠臣水浒伝•曲亭馬琴:南総里見八犬伝•洒落本:一般的には小規模な作品であり、遊里の世界を「通」の目でとらえ、「穿ち」を主眼として描く風俗小説、会話体を主とし地の文が注のように入るのが特徴で、遊里文学ともいう。(通:世情に明るく万事さばけていること。「通」によってもたらされる美意識を「粋」という。穿ち:日常気づかないでいる物事の本質を裏側からとらえ、そこに隠された矛盾や欠点を暴くこと。)•山東京伝:通言総篱•滑稽本:書き方がおかしみ、滑稽さを本義にし、会話体が主で、笑いを目的として庶民の生活を活写した楽天風俗小説である。•先行して宝暦年間に出た前期滑稽本では、風来山人が世相を痛烈に風刺した。•十返舎一九:東海道中膝栗毛•式亭三馬:浮世風呂、浮世床•人情本:会話体や風俗描写をとりいれ、市井の男女の退廃的な愛欲生活や遊里生活に対する描写であり、婦女子を対象に書かれた恋愛小説である。•為永春水:春色梅児誉美•草双紙(草双子):平易な仮名入りの絵本の総称である。表紙の色や製本がかわるごとに、赤本、黒本、青本、黄表紙、合巻と順に呼称をかえる。•子供向きの童話だったのは赤本までで、黒本、青本あたりから大人向きに創作味を加えられた。•安永·天明期の黄表紙はまさに大人のための絵入り小説で、洒落本と同様、遊里の風俗を「穿ち」の精神で描いた。•恋川春町:金々先生栄花夢•山東京伝:江戸生艶気樺焼•化政期には道徳的な仇討ち物などの内容になり、長編化したため、何冊かを合冊して出版する合巻が登場する。•柳亭種彦:諺紫田舎源氏詩歌•近世初期•俳諧:室町時代後期、連歌から滑稽味を主とする俳諧連歌が派生し、江戸時代に独自な発達を遂げた。俳諧連歌の略称が俳諧である。俳諧では連歌と同じく五七五の長句と七七の短句を交互に付け合わせる。•貞門俳諧:松永貞徳、北村季吟•談林俳諧:西山宗因、井原西鶴、上島鬼貫•掛詞•同音異義を利用して、一つの語句に、同音の二つ以上の意味を掛ける技法。•意味を二重にして、複雑なイメージを生み出す。•口語訳では二重の意味を訳し出す。•例山里は冬ぞさびしさまさりける人目も草もかれぬと思へば•(人目も離れぬ、草も枯れぬ)•近世前期•芭蕉と蕉門、蕉風•言語遊戯の域を超えず、詩的精神が希薄であった俳諧に新たな境地を切り開き、俳諧を芸術として完成させた。•蕉風の確立•「野ざらし紀行」—旅に出た•「冬の日」「鹿島紀行」•「笈の小文」—俳諧理念「風雅」を深めた•「更科紀行」•人生で最大「奥の細道」—「不易流行論」(「不易」(永遠に変わらない)と「流行」(時に応じて変化する)の両面に立脚しており、「風雅の誠」を求めて変化し続けていくことこそ俳諧の不変の価値を実現するという)•蕉風の完成•「幻住庵記」—幽玄、閑寂•「嵯峨日記」•俳諧撰集「曠野」「ひさご」「猿蓑」—蕉風俳諧の根本理念「わび」「さび」「しをり」「ほそみ」「軽み」を具現化した。•近世後期(天明期)•与謝蕪村•芭蕉の後、低俗化し文学性を喪失しつつあった俳壇に対し、蕉風の復興を目指す動きが各地で起こった。•古典的教養が基磐•浪漫的、絵画的、感覚的•「夜半楽」「新花摘」•近世末期(化政期)•小林一茶•俳諧の人気が増大したが、同時に低俗化も進行した。月並俳諧の流行によって、俳諧の大衆化に拍車がかかった。月並調の句が量産される風潮の中で小林一茶が異彩を放った。•「おらが春」•狂歌と川柳•狂歌•最盛期:天明期•唐衣橘洲、四方赤良、朱楽菅江•川柳の誕生•俳諧と並行して盛んになっていた雑俳には色々な形式のものがあったが、その一つである前句付けの点者に柄井川柳がいた。前句なしでも意味のかわるおもしろい付け句を選んで『柳多留』が編まれ、以後、付け句は独立し、柄井川柳の名に因んで川柳と呼ばれるようになった。•前句付:初めは俳諧の付合の稽古として、長句(五七五)に短句(七七)、或いは短句に長句を付けるものであったが、のちに、抽象的な短句に意表をつく長句を付ける遊戯として発達する。•例じゃまなことかな(前句)•江戸者の生まれそこない金をため(付句)•国学と国学三大人•国学:古典研究を通して儒教、仏教伝来以前の古代日本の精神を明らかにしようとする学問である。•荷田春満•賀茂真淵:「万葉考」•本居宣長:「古事記伝」「源氏物語玉の小櫛」•漢学と漢詩文•封建政を支える思想、特に朱子学(政治顧問:林羅山)•朱子学:新井白石「折たく柴の記」、室鳩巣「駿台雑話」•陽明学:中江藤樹•古学:伊藤仁斎、服部南郭•前期漢詩人•石川丈山、元政•後期漢詩人•菅茶山、広瀬淡窓、頼山陽、梁川星巌芸能•浄瑠璃•室町後期:琵琶法師が始めた語り物の音曲•江戸時代:これに三味線と人形操りが結び付いて人形浄瑠璃が生まれた。•浄瑠璃には多くの流派があったが、義太夫節を創始した竹本義太夫の表現力の豊かな節と近松門左衛門の台本によって人気を博した。•近松の後、竹本座の竹田出雲と豊竹座の並木宗輔らが合作で「菅原伝授手習鑑」「仮名手本忠臣蔵」などの大作を発表し、全盛期を迎えた。•近松門左衛門•時代物:歴史上の事件に取材する。•「出世景清」•世話物:当時の実際の事件に取材する。•「曾根崎心中」「冥途の飛脚」•歌舞伎•近世初期、出雲の阿国のかぶき踊りに始まった。•女歌舞伎、若衆歌舞伎、野郎歌舞伎と形を変えながら次第に演劇性を強めた。•元禄期には上方に坂田藤十郎、江戸に市川団十郎という名優が出た。•化政期の江戸で爛熟期を迎え、四世鶴屋南北の「東海道四谷怪談」や河竹黙阿弥「三人吉三廓初買」「鼠子紋東君新形」などが支持を集めた。•1井原西鶴相关•2近世小说概观及历史演变•3松尾芭蕉相关•4近世俳谐的变化及俳风的比较谢谢大家