12009年度立教大学法学部「経済原論」講義第10章企業行動10.1企業行動の理論企業の目的:を最大にすることを出来るだけ最大にし、を出来るだけ最小にする。(1)費用関数企業はある財を生産しており、その財を生産するときの費用は財のに依存するとする。財の生産量をX、そのための総費用をcとするとc=と表わすことが出来る。このような生産量と生産費用の関係をと呼ぶ。通常、費用関数のグラフは次のようなとして描かれる。2(図1)総費用曲線総費用は企業が商品を生産しなくても必要になると生産の変化に応じて変化するからなる。(2)限界費用と平均費用「」:生産量を1単位増加するときに追加的にかかる費用。総費用曲線ので表わされる。「」:製品1単位あたりの費用。MCとACを描くと以下のようになる。生産量X総費用C3(図2)企業の限界費用曲線と平均費用曲線費用C、価格P生産規模を拡大すると初めは大量生産の利益によりとは。生産量が過大となると生産は効率的でなくなりそれらの費用が。このとき、のをが通過。生産量X4(3)利潤最大化企業が生産した財が価格Pで売れるとする。企業の利潤をπとすれば、市場における企業のはπ=このとき企業の利潤最大化の条件はだから、dπ/dX==つまり、P=市場においては企業の生産したがに等しくなるようにが決定。(4)競争的市場における供給曲線企業の利潤最大化の行動基準は「」だから、企業のは。(図2)のA点では、がに等しくなっているため、企業の利潤は。生産量をX*より小さくすると利潤がになり、大きくするとになる。(5)不完全競争市場がただ一つの企業によって支配されているの場合。独占企業は価格をが可能で、以下のようなによって表わされる。P=5「方式」:企業が製品一単位あたりのを計算し、それに一定のを上乗せしてを決定。独占企業のをR(X)で表わすと、R(X)=と表わせる。したがって独占企業のは、π=独占企業の利潤最大化の条件は、より、dπ/dX==R’(X)=となる。つまり、独占企業は限界収入と限界費用がに商品のを決定。6(図3)独占市場における生産量と価格価格Pつまり、独占企業の生産量はとなるので、価格。競争市場での均衡価格と均衡生産量はそれぞれと。独占企業は価格で、商品しか生産しない。独占は消費者にとって望ましいことではない。生産量X7(6)所有と経営の分離・企業の目的は「」ではないのではないか?・企業のとが同一ではない場合、経営者は短期のではなく、の向上やなど、より長期的な経営目標を立てる可能性がある。10.2経営分析(1)損益計算書と貸借対照表=企業などのある一定期間の「」と、それを得るための「」を示して、その期間における「(赤字の場合は)」を算出した計算書。(表1)コーヒー・チェーンA社の損益計算書単位:百万円2003年2004年2005年2006年2007年売上高59,34561,71362,70366,31268,596売上原価30,70931,53231,75832,71034,486売上総利益28,63530,18130,94433,60234,110販売費及び一般管理費人件費9,1369,5799,92610,39910,928配送費2,1042,0442,1553,0443,006水道光熱費1,1271,2131,2091,2391,318地代家賃4,8525,2045,2795,4905,785減価償却費1,5821,4881,3741,4851,504その他5,3015,7416,1166,5947,228販売費及び一般管理費合計24,10525,27126,06228,25429,772営業利益4,5304,9104,8825,3474,3378営業外収益受取利息12171218254営業外収益合計73118247151389営業外費用支払利息1810556営業外費用合計611246110632経常利益4,5424,9045,0685,3924,694特別利益固定資産売却益8679810-その他特別利益---1830特別利益合計8679811830特別損失固定資産除却損150457237136152土地評価損-1,920---店舗閉鎖損-56439588225減損損失---328153その他特別損失1184661131268特別損失合計2693,409746555800税金等調整前当期純利益4,3591,5734,4024,8553,924法人税、住民税及び事業税2,0239331,9412,1711,409法人税等調整額△53△83△281△84329当期純利益2,3887232,7432,7692,185(2007年3月31日現在)=一定時点におけるすべての「」・「」・「」の残高を一覧表示したもの。(表2)コーヒー・チェーンA社の貸借対照表資産の部単位:百万円9<資産の部>2003年2004年2005年2006年2007年流動資産現金及び預金9,7829,98213,0728,7854,262受取手形及び売掛金4,5114,3774,5194,6405,098有価証券-9992,4998,5996,598たな卸資産1,4601,2021,0601,0821,011繰延税金資産269396677652415その他7039851,1241,0121,219貸倒引当金△36△41△30△64△45流動資産合計16,69117,90322,92524,70718,560固定資産有形固定資産建物及び構築物10,66210,86110,1659,86610,358機械装置及び運搬具1,9991,8261,8781,8561,665工具器具及び備品634517464431431土地4,8804,0322,9752,9752,975建設仮勘定3581719754533有形固定資産合計18,53517,40815,58115,18415,964無形固定資産ソフトウェア1,3161,8511,9671,8181,590施設利用権他3938383838無形固定資産合計1,3561,8902,0061,8571,629投資その他の資産投資有価証券1,7771,7801,7783,2725,657繰延税金資産783738741853661差入保証金10,9489,92810,0219,97010,075その他1,004929876862881投資その他の資産合計14,51313,37613,41714,95717,275固定資産合計34,40532,67631,00431,99934,869資産合計51,09650,58053,93056,70753,429(2007年3月31日現在)10負債・資本の部単位:百万円<負債の部>2003年2004年2005年2006年2007年流動負債支払手形及び買掛金4,0214,4394,2904,3444,298短期借入金1,837728666659612未払法人税等1,052501,5881,276389賞与引当金337361423630677その他1,3231,8321,6362,0301,894流動負債合計8,5737,4128,6058,9407,871固定負債転換社債10,00010,00010,000--長期借入金19511217711826退職給付引当金536517517499664役員退職慰労引当金80383182385293その他1,5862,0081,8021,8641,881固定負債合計13,12113,47013,3213,3352,666負債合計21,69520,88221,92712,27610,537<資本の部>資本金6,0726,0726,07211,14011,141新株式払込金---1-資本剰余金6,7126,7126,71211,77411,775利益剰余金16,61616,91119,22021,52222,976自己株式△2△2△2△5△3,143その他有価証券評価差額金231△1141資本合計29,40129,69732,00344,43042,891負債、少数株主持分及び資本合計51,09650,58053,93056,70753,429(2007年3月31日現在)11(2)総資産利益率(ROA、ReturnonAssets)は企業が投資した1円当たり、どれだけの利益を生み出しているかを示す指標。総資産利益率=/ROAの分解ROA=()×()=×(3)株主資本利益率(ROE、ReturnonEquity)は、によって投資された資金を使用して経営者がどれだけ効果的に利益を生み出しているかを示す指標。株主資本利益率=/ROEの分解ROE=()×()=×