我が国の食料自給率の現状及びその向上への取組について平成20年3月農林水産省総合食料局食料企画課○食料自給率は、国内の食料消費について国内の農業生産でどの程度賄えているかを示す指標であり、示し方としては、品目別自給率、穀物自給率、総合食料自給率(カロリーベース、生産額ベース)がある。「食料自給率」=(国内生産)÷(国内消費)(※生産が需要を上回り、その分が輸出に回れば100%を超える)○自給率を示すため、農産物を共通の「ものさし」で計る必要があり、①重量、②生産額、③カロリー(供給熱量)がある。○我が国のカロリーベースの食料自給率は、平成18年度で39%となっており、長期的には低下傾向が続いている。また、主要先進国の中で最低の水準となっている。総合食料自給率自給率計算式(重量ベース)(米、小麦、大・裸麦のうち、飼料用を除く。)(米、小麦、大・裸麦、とうもろこし等。飼料用も含む。)=主食用穀物自給率==60%27%=飼料用を含む穀物全体の自給率主食用穀物の国内生産量[959万トン]主食用穀物の国内消費仕向量[1,600万トン]×100穀物の国内生産量[971万トン]穀物の国内消費仕向量[3,572万トン]×100穀物自給率1カロリーベースの食料自給率=国民1人1日当たり国産熱量[996kcal]国民1人1日当たり供給熱量[2,548kcal]×100=39%(注)国内の畜産物については、飼料自給率を乗じ、輸入飼料による供給熱量分を控除。生産額ベースの食料自給率=食料の国内生産額[10.2兆円]食料の国内消費仕向額[14.9兆円]×100=68%(注)国内の畜産物及び加工食品については、輸入飼料及び輸入食品原料の額を国内生産額から控除。主要先進国の食料自給率(カロリーベース)食料自給率の動向我が国の食料自給率の動向39732762608068860102030405060708090100昭和4045505560平成2712(%)食料自給率(カロリーベース)穀物自給率(飼料用を含む、重量ベース)主食用穀物自給率(重量ベース)食料自給率(生産額ベース)18605348404666757068759284104131142122112151129128050100150200日本イギリスドイツフランスアメリカS45S55H2H15○食料自給率の低下の要因は、国内生産の縮小というよりも、食生活の大きな変化により・国内で自給可能な米の消費量が減少する一方、・国内で生産が困難な飼料穀物や油糧原料(大豆、なたね)を使用する畜産物や油脂の消費が増加したことが大きな原因。・米の消費の減少(ピーク時の約1/2)1人1年当たり118.3kg(昭和37年度)⇒61.0kg(平成18年度)・肉類の消費の増加(約5倍に増加)1人1年当たり5.2kg(昭和35年度)⇒28.0kg(平成18年度)・油脂類の消費の増加(約3.5倍に増加)1人1年当たり4.3kg(昭和35年度)⇒14.5kg(平成18年度)※平成18年度は概算値☆米が大きく減少し、畜産物・油脂類が大きく増加☆国民が消費する食料(カロリーベース)の5割以上は米、畜産物、油脂類で賄われている状況【国民1人1日当たり供給熱量の構成の推移】2食料自給率低下の背景米畜産物油脂類小麦いも類・でんぷん砂糖類魚介類その他05001,0001,5002,0002,5003,000昭和354045505560平成271218394368320217205平成18年度2,548kcal31985320308325152245133130310昭和55年度2,563kcal(kcal)昭和35年度2,291kcal1,10610525114215787359595770品目別カロリー自給率[%]カロリーベース食料自給率73%39%【昭和40年度】【平成18年度】輸入部分輸入飼料による生産部分自給部分米100%33%油脂類31%砂糖類魚介類110%28%小麦その他68%果実86%41%大豆野菜100%畜産物47%45%3020090807060504010010020406080100供給熱量割合総供給熱量2,459kcal/人・日[%][国産熱量1,799kcal/人・日]供給熱量割合総供給熱量2,548kcal/人・日[%][国産熱量996kcal/人・日]020406080100その他23%果実35%大豆25%野菜76%魚介類59%砂糖類32%小麦13%油脂類4%畜産物16%米94%302009080706050401001051%020406080100その他23%果実35%大豆25%野菜76%魚介類59%砂糖類32%小麦13%油脂類4%畜産物16%米94%3020090807060504010010302009080706050401001051%人口に比べ農地が狭く平坦でないといった不利な国土条件を有する我が国では、食生活の変化に伴い消費が増大している畜産物や油脂類の生産に必要な・飼料穀物(とうもろこし等)・油糧原料(大豆、なたね等)の十分な生産が困難であり、輸入に依存せざるを得ない状況現在、我が国が輸入している主な農産物の生産に必要な海外の農地面積は、国内農地面積(467万ha)の約2.7倍に相当する1,245万ha主要先進国の人口と農用地面積主な輸入農産物の生産に必要な海外の作付面積今の食生活では輸入に依存せざるを得ない食料輸入をめぐる状況31,27859682559802004006008001,0001,2001,400日本英国ドイツフランス25500国民1人当たり農地面積(a/人)人口(10万人)人口国民1人当たり農地面積3.428.420.649.6数値は日本が2006年、その他の国が2003年昭和40年度当時ごはん1日5杯牛肉料理(1食150g換算)月1回豚肉料理(1食150g換算)月2回たまご料理3週間で1パック牛乳(牛乳びん)週に2本植物油(1.5kgボトル)年に3本野菜1日300g程度(重量野菜多い)果実1日80g程度(りんごが3割)魚介類1日80g程度○食生活の変化を食料消費の推移で比較すると、昭和40年と現在では・米については、1日5杯だったものが、1日3杯・牛肉については、月1回だったものが、月3回・植物油については、1.5kgボトルで年3本だったものが、年9本となっているなど、食生活の変化とともに、品目別の食料消費量が大きく変化してきたことがわかる。73%昭和55年度当時1日4杯月2回2週間で1パック弱週に3本月5回年に7本1日310g程度(緑黄色野菜増加)1日110g程度(みかんが約4割)1日100g程度53%平成18年度1日3杯月3回週に3本月6回年に9本2週間で1パック強1日260g程度(緑黄色野菜以外は減少)1日110g程度1日90g程度-輸入物増--輸入物増-39%※※※※カロリーベースの食料自給率食生活の変化と食料自給率の変化4○我が国の食料消費については、かつて、米、野菜、魚、大豆を中心とした伝統的な食生活のパターンに、肉類、牛乳・乳製品、油脂、果実が豊富に加わって、多様性があり、かつ栄養バランスが優れたいわゆる「日本型食生活」が実現していた。○しかしながら、米の消費量が大きく減少する中で、食料自給率が大きく低下するとともに、脂質の摂取過多など栄養バランスの崩れによる国民の健康への影響が懸念される状況になってきている。また、食習慣の乱れなども大きな問題となってきている。☆食品の廃棄や食べ残しの増加生活習慣病の増加(平成14年)糖尿病患者数:228万人(昭和62年の約2倍)高血圧性疾患:699万人国民医療費の増加(平成14年度)総額31兆円(昭和60年度の約2倍)5☆食生活の変化→食料自給率の低下これに加え、栄養バランスの崩れ供給熱量に対する両熱量の差分は、食品の廃棄・食べ残しの目安になり、その差分は昭和42年度の12%から平成17年度の28%へ拡大していることから、食品の廃棄・食べ残しは増加していると考えられる。○供給熱量(食料需給表)と摂取熱量(国民栄養調査)の推移○食生活におけるPFCバランスの推移(供給ベース)P12.9C58.0F29.1P13.0C61.5F25.5P(たんぱく質)12.2C(炭水化物)71.6F(脂質)16.2(資料)農林水産省「食料需給表」、厚生労働省「国民健康・栄養調査」(注)1.酒類を含まない。2.両熱量は、統計の調査方法及び熱量の算出方法が全く異なり、単純には比較できないため、両熱量の差はあくまで食べ残し・廃棄の目安として位置付け。昭和40年度昭和55年度平成18年度食生活の変化をめぐる様々な問題(H18概算値)2,548(H17)2,5732,6532,5962,5172,497供給熱量(H17)1,8511,9852,0462,1912,202摂取熱量1,0001,5002,0002,5003,000昭和4045505560平成271218(kcal)○食料消費の変化の大きな要因としては、経済成長に伴う生活水準の向上、ライフスタイルの変化等により食事の内容が変化し、従来、和食中心であったものが、洋風化、多様化してきたことが考えられる。○米を中心とした和食と洋食・中華等では使用される原料が大きく異なっており、結果的に、このような食事内容の変化が食料自給率の低下につながっている。6(参考)食事内容による食料自給率の違い○食料・農業・農村基本法における食料自給率目標の取扱い第二条2国民に対する食料の安定的な供給については、世界の食料需給及び貿易が不安定な要素を有していることにかんがみ、国内農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行わなければならない。4国民が最低限度必要とする食料は、凶作、輸入の途絶等の不測の要因により国内における需給が相当の期間著しくひっ迫し、またはひっ迫するおそれがある場合においても、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう、供給の確保が図られなければならない。第十五条2基本計画は次に掲げる事項について定めるものとする。二食料自給率の目標3前項第二号に掲げる食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨とし、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として、農業者その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めるものとする。第十九条国は、第二条第四項に規定する場合において、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保するため必要があると認めるときは、食料の増産、流通の制限その他必要な施策を講ずるものとする。食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号)(抄)7食料・農業・農村基本法における食料自給率等の位置付け旧基本計画(平成12年)新基本計画(平成17年)②金額ベース(参考)②生産額ベース(①と同等の目標)○45%目標(27年度)が実現した次の段階に実現が見込まれるよう条件整備を推進基本的には、5割以上を目指す新たな国産農産物の需要先の開拓・輸出の更なる拡大・革新的な新技術を通じた生産性の大幅な向上等食料・農業・農村基本計画における食料自給率目標の考え方平成9年度41%平成22年度45%平成15年度40%米24.3%畜産物2.6%小麦・大豆1.5%野菜、果実、魚介類等13.0%米24.0%畜産物4.0%小麦・大豆2.4%野菜、果実、魚介類等14.7%野菜、果実、魚介類等12.8%米22.1%小麦・大豆2.3%畜産物2.5%野菜、果実、魚介類等14.5%米23.3%畜産物4.3%小麦・大豆2.8%基本的には、5割以上を目指す①カロリーベース①カロリーベース平成27年度45%【実績】H11~H15年40%で横ばい平成9年度71%米15.4%野菜、果実、魚介類等37.8%畜産物17.8%小麦・大豆0.3%平成22年度74%米14.9%野菜、果実、魚介類等39.9%小麦・大豆0.5%畜産物19.1%平成15年度70%米16.9%野菜、果実、魚介類等3