ワーキングプアを支援する社会保障制度改革

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56知的資産創造/2008年8月号当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法および国際条約により保護されています。CopyrightⒸ2008NomuraResearchInstitute,Ltd.Allrightsreserved.Noreproductionorrepublicationwithoutwrittenpermission.ワーキングプアを支援する社会保障制度改革CONTENTSⅠ ワーキングプアの増加Ⅱ 空洞化対策としての消費税Ⅲ 負の所得税1 グローバル経済の進行に伴い、各国で所得格差が拡大し、ワーキングプア(働く貧困層)、長期失業者、生活保護受給者が増加している。2 日本でも、年収200万円以下のワーキングプアは1000万人(民間企業の被雇用者の2割)を上回り(2006年)、生活保護受給世帯も100万を超えた。3 ワーキングプアの増加に伴い、社会保険料の未納率が上昇している。これは、将来年金を受けられない人、医療を受けられない人の増加にほかならない。4 社会の安定を図るために、社会保険料の拠出要件の緩和に加え、直接的な経済格差の是正策が求められている。経済のグローバル化に伴う空洞化の阻止および社会保障の財源確保のために、法人税を引き下げるとともに、消費税を福祉目的税として引き上げることは有効な対策となろう。5 具体策として、「負の所得税」に基づく米国のEIC(勤労所得税額控除制度)および基礎年金の財源に消費税を充てることを検討すべきである。それにより、保険料の徴収なしに、すべての国民の老後の最低所得保障が可能となる。6 国民すべてが一定水準の医療を受けることを可能にするために、4大健康保険組合を都道府県別地域健康保険組合として再編成し、地域ごとに同一の保険料のもと、低所得者への補助率引き上げを図るべきである。財源不足を補うために、相続税に対する課税最低限を引き下げ、増収を図ることも一案である。格差是正の観点からも、相続税の見直しは必要であろう。要約NAVIGATION&SOLUTION中村実Ⅳ 基礎年金とBI(ベーシック・インカム)Ⅴ 医療保険の課題57ワーキングプアを支援する社会保障制度改革当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法および国際条約により保護されています。CopyrightⒸ2008NomuraResearchInstitute,Ltd.Allrightsreserved.Noreproductionorrepublicationwithoutwrittenpermission.Ⅰ ワーキングプアの増加1 ベヴァリッジ報告書戦後の資本主義経済の特徴ともいえる西欧の福祉国家の基本的な枠組みは、二度の世界大戦を経て確立された。ロシアでは、19世紀の社会主義者の夢を実現すべく、第一次世界大戦末期の1917年に共産主義革命が勃発し、社会主義国家が成立する。一方、西側の資本主義国家は、1929年10月のニューヨーク・ウォール街での株価大暴落に端を発した世界恐慌から長期の不況に陥り、やがて第二次世界大戦へと突入する。資本主義経済に対する信頼は大きく揺らぎ、社会主義は一大勢力へと発展した。こうしたなか、1942年に英国で、後に英国の社会保障制度の指針となる「ベヴァリッジ報告書」が発表された。個人の自由、自立、市場経済を前提に、資本主義の弱点ともいえる景気循環に伴う失業、貧困への対策としての社会保険の導入がベヴァリッジ報告書の骨子であり、戦後資本主義のもとでの福祉国家の成立に大きく寄与することとなった。ベヴァリッジ報告書は男女性別分業(夫が働いて稼ぎ、妻は家事を担う)を前提とし、ケインズ流の有効需要創出政策に基づいた男子勤労者の長期安定雇用を目標としていた。とはいえ、景気循環、産業構造の変化に伴う失業の発生は避けることのできない資本主義の宿命である。そのため、失業保険、職業安定所(再雇用の促進)、職業訓練所(労働者の技能向上)の整備などの失業対策が取られることとなった。また生活支援対策として、老齢年金、国による医療サービス(NHS:NationalHealthService)と児童手当が導入された。資本主義経済のもとでは、国民はそれぞれ働くことで生計を立てることが前提となっているが、失業、あるいは病気などのリスクをゼロにすることはできない。失業保険、公的年金制度は、そのリスクに対する保障として、勤労者がそれぞれ収入の一部を拠出することで、困難な状況にある人を支援する制度である。なお、英国の場合、NHSは全額が公費で賄われており社会保険ではない。社会保険制度はベヴァリッジ報告書の目玉の一つであり、収入のある個人がそれぞれなにがしかのお金を拠出することを要件に、さまざまな給付を行う。社会保険制度は、生活保護のように税を財源とした国による救済ではなく、拠出が給付の条件であるという保険の概念により成り立っている。しかし、ベヴァリッジ報告書の想定した失業保険、老齢年金などのセーフティネット(安全網)は最低限のもので、それを上回る老後の生活資金などには、自分の貯蓄を充てることを推奨していた。最低限度の保障を行うことが国の責任であり、それ以外については自己責任が前提とされていたのである。そのためには、安定的な経済成長が欠かせない。1980年以降の西欧、日本などの西側の資本主義国家では、経済のグローバル化に伴う空洞化による製造業の縮小、途上国製品との競争によるデフレ圧力が原因となり、多数の低賃金労働者、長期失業者が発生した。日本の場合、正規社員3400万人に対して非正規社員は1700万人(2006年、厚生労働省)と、雇用者の3割を占めるに至り、労働者間の所得格差が拡大している。貧困者の存在が無視できないほど大きくなる一方で、所得の58知的資産創造/2008年8月号当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法および国際条約により保護されています。CopyrightⒸ2008NomuraResearchInstitute,Ltd.Allrightsreserved.Noreproductionorrepublicationwithoutwrittenpermission.低さを原因とする社会保険料の未納が大きな問題となっている。資本主義社会のセーフティネットである社会保険は保険料納付を義務づけているが、雇用が不安定で低所得の労働者が増えると未納率が上がるのは自然なことである。保険料未納者の増加は、将来の年金給付を受けられない、あるいは医療を受けられないという人の増加につながる。また、生活保護の対象となる貧しい世帯も100万を超えた(2006年)。ベヴァリッジ報告書で想定していなかった事態が生じているのである。2 貧困者の増加空洞化の原因となった経済のグローバル化を止めることは不可能であるとすれば、社会のセーフティネットからはみ出す人を救うため、今後、社会保障制度をどのように改革していくべきかを考えてみよう。図1は1990年代以降の若年層の賃金格差の拡大を示したものである。中国、東南アジア諸国の台頭は、国際分業を推し進めた。一方、完成品の組み立てには、賃金コストおよび生産性を考慮して最適地が選択されるようになった結果、部品の生産国と完成品の生産国が異なることは通常となりつつある。米国のパソコンメーカー大手のデルが好調なときには、中国、台湾、インドなどでの雇用が拡大するなど、国際分業を前提としたグローバル企業が世界標準となりつつあり、労働市場は大きな変化のときを迎えている。空洞化による製造業の雇用縮小および途上国からの低価格商品の流入という状況下では、流通業のいわゆるディスカウンターは新たな雇用吸収先ではあったが、柔軟な労働配置が必要とされる流通業という性格上、世間相場に比べて低賃金のパート社員の増加をもたらした。低付加価値商品は途上国で、高機能商品は国内での生産という構図ができ上がったものの、国内の高賃金がそのまま見過ごされることはなかった。グローバル企業は各国の労働者の人的能力と賃金水準を考慮して最適生産の選択をするため、国内の労働者だけを特別に優遇することはできない。しかし、労働法による強力な正規社員保護のため、正規社員の賃金引き下げ、リストラは困難であり、結果として企業は正規社員の雇用を抑制し、期間従業員などの非正規社員を増やさざるをえなかった。実際、1990年代以降、雇用者に占める非正規社員の比率は一貫して上昇しており、2006年には3割強(女性は5割)に達している。正規社員と非正規社員の賃金格差は大きい。2005年の厚生労働省による月額報酬の調159ワーキングプアを支援する社会保障制度改革当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法および国際条約により保護されています。CopyrightⒸ2008NomuraResearchInstitute,Ltd.Allrightsreserved.Noreproductionorrepublicationwithoutwrittenpermission.査では、正規社員を100とすると、非正規社員は、男性で63、女性で71である。この賃金格差が近年のワーキングプア(働く貧困層)問題の一因となっていることは明らかであろう。途上国での低付加価値商品の生産が増えるとともに、国内では高付加価値商品が必要とされ、国内労働者にはより一層高い能力が求められる。教育には多くの資金が費やされ高学歴者が増加していったものの、高学歴者に対する雇用はそれほど多くなく、結果として「過剰学歴」という言葉が表すように、いわゆるポストドクターは1万5000人を超え、就職先がないため大学院に進学する待機学生も増加している。最低賃金の低さもワーキングプアを生む原因となっている。最低賃金は現在全国平均で時給687円(正規社員の場合、最低水準である高卒初任給の時給換算が915円)である。最低賃金で1日8時間、1カ月22日働いた場合の月収は12万円、年収にして150万円以下である。最低賃金の水準は都道府県ごとに異なるが、最低賃金の収入は、多くの都道府県で生活保護給付を下回っている(東京都の場合、夫婦+子ども1人の生活保護世帯に対する生活扶助費は月額16万5000円で、年換算すると198万円である)。最低賃金の大幅引き上げに対する要望は多いが、地方の中小企業の収益は思わしくなく、2007年の引き上げ幅は前年比14円にすぎない。民間企業の被雇用者は4500万人を数えるが、うち1023万人は年収200万円以下であった(民間給与実態統計調査2006年、国税庁)。以後、年収200万円以下を「ワーキングプア」とすると、民間の被雇用者の23%がワーキングプアであり、これに低収入の自営業者を加えると、1300万~1500万人が広義のワーキングプアであると予想される。ワーキングプアとともに生活保護世帯も増加しており、2006年6月時点で107万世帯に達している(1995年度、60万世帯)。生活保護費も1995年度の1兆5000億円から2兆7000億円(ちなみに、2006年度の公共投資は7兆円)に増加した。生活保護対象者の内訳は大きく変化している。表1は1965年と2005年を比較したものである。最近では、高齢者および傷病・障害者で82%を占めていることが特徴的である。1965年時点では「その他」に含まれる、働く能力はあっても仕事がないために生活保護となっている人の多さが目につく。40年あまりの間に、生活保護の対象は高齢者に移った。このように、現在の生活保護は、働く能力があり実際に働いている低所得の貧困世帯への支援については消極的であるため、生活保護給付以下の収入で生活せざるをえないワーキングプアが増加する。低収入のワー

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