第十課仮面の思想加藤秀俊加藤秀俊(かとうひでとし)•東京都に生まれた。1953年日本一橋大学卒業。放送教育開発センター所長。社会学者、評論家。主な著書に、『比較文化への視覚』『暮らしの思想』『習俗の社会学』などがある。•1996年-2005年国際交流基金日本語国際センター所長•2002年-2004年日本育英会(現独立行政法人日本学生支援機構)会長国際交流基金と日本学生支援機構•国際交流基金•「国際文化交流事業を総合的かつ効率的に行なうことにより、我が国に対する諸外国の理解を深め、国際相互理解を増進し、及び文化その他の分野において世界に貢献し、もって良好な国際環境の整備並びに我が国の調和ある対外関係の維持及び発展に寄与することを目的とする機構。国際交流基金と日本学生支援機構•日本学生支援機構•学生に対する奨学金貸与事業や留学支援、また外国人留学生の就学支援を行っている機構。テーマについて•仮面とは何ものか。•どんな物が仮面と思われるのか。•仮面の起源と機能は何か。•「仮面の思想」というテーマは何の意味か。論文の展開第二部分第三部分第四部分第一部分論文の展開承転結起文章の構成ーー起承転結•起:・・・物語のきっかけとなる事象が発生承:そして・・・「起」で発生した事象が推移していく転:ところが・・・「承」の流れとは一転した事態となる結:そこで・・・「起」で始まった物語の終結「起」以外各々の接続詞のつく話です。文章の構成ーー第一部分•問題提起仮面というのは古今東西をとわず、ひろく見られるものである。が、なぜ人間は仮面なるものをつくり、かつ被るのか。日本の仮面日本の仮面日本のお面日本における伝統芸能である能(能楽)などに用いる仮面(能面)等は、わざわざ仮面とは称さず、単に面と呼ぶ(専門的には「おもて」と呼ぶ)。アフリカの仮面アフリカ大陸では、それぞれの地域に住む部族が、祭祀のために、それぞれ独特の仮面を作ってきている。これらの仮面は、大陸の各国が離合集散を繰り返してきていても、しばしば国境線を超えて、以前からの部族社会が各地で生き残っていて、独特の仮面を維持している。その多くは美術的にも高く評価されている。アフリカの仮面ニューギニアの仮面狭義の仮面仮面(かめん、マスク、mask)とは、人体のうち顔の一部または全体に被るもの、または覆うものを指す。頭部まで覆うものを含めることもある。仮面は顔を隠し正体を分からなくするために用いられる(覆面)。あるいは儀式や演劇や祭礼などの時に役になりきるためにも使われる。その他鼻や口部分を衛生または防護目的で覆う実用的なものも「マスク(mask)」と呼ばれる。メラネシア広義の仮面人間の顔面に色彩を塗り付けメーキャップし、牙(きば)や角(つの)や鳥の羽などをつけて変装・化身した顔を広義の「仮面」と思われる。仮面の言葉連想ゲーム仮面の言葉連想ゲーム歴史が長い、コスプレ、マスク、宗教、お化け妖怪、気持ちが悪い、不気味、文化にかかわる質問1、「無気味としかいえないような扮装をする」とあるが、どのような点が無気味だというのか。そして、なぜ「そんな話を聞くと、いよいよ気味が悪くなる」のか。①もともとの皮膚の色が黒いところに、真っ白な色を全体に塗るという点。②黒い皮膚に真っ白な色を全身に塗っているのさえ異様であるのに、体を白くするのは、死者の霊を象徴するためだと聞いたから。新しい言葉•色彩(色。色取り。ある傾向、性質。)①京都の風物は、色彩をおさえた渋いものが多い。②日本人の色彩感覚は、多様さや大胆さにとぼしいとしても、たいへん洗練されたものだったと思う。新しい言葉•配合•(配合/二種以上のものを組み合わせる。程よく混ぜ合わせること)①この薬はビタミンAとビタミン12が配合されている。②このペットフードには犬に必要な栄養分がバランスよく配合されている。③化粧品の成分について、日本では安全性などの面から、厚生省によって配合成分が定められている。メラネシアハワイの王族おかめひょっとこ仮面の言葉連想ゲーム天狗質問2、作者はどのような仮面の例を挙げ、どのように論を進めているか。まず、ニューギニアの高地に住む人々の仮面、次、インカやアステカの遺跡の中の仮面、さらに、キャプテン・クックが見たハワイの王族がかぶっている仮面、最後、日本の仮面。これらはいずれも奇怪で不愉快なものに見えるかもしれないが、美醜は相対的な文化の問題であり、人類文化における仮面の普遍性について論を進めている。質問3、「私が力点を置いて考えようとしているのは、人類文化における仮面の普遍性なのである」とあるが、「仮面の普遍性」とはどのようなことだと筆者は述べているか。仮面が人間のいるところに必ず存在し、仮面のない文化はひとつもなく、人類を他の動物から分かつ重大な指標にひとつであるといったような、いつの時代にもまたどこでも当てはまる仮面の性質について、考えてみたいということ。新しい言葉•滑稽•(おかしかったりばかばかしかったりして、笑いの対象になる。)①君が彼の代わりに謝らなければならないなんて滑稽な話だ。②まさかその滑稽な帽子をパーティにかぶっていこうというのではないでしょう。新しい言葉•力点•(梃子で物を動かすとき、力を加える箇所。支点。特に力を入れる所。重点。)①自由党と民主党は、政策の力点が同じとは言い難い。②開発に力点をおいたことで、国民の生活は着実に向上し、中産階級が生まれた。③ロシア大統領の今回の会談では、北方領土問題より経済関係の拡大に力点が置かれることは間違いない。新しい言葉•分かつ•(分割する。分ける。同じ感情を持ち合う。分かち合う。仕切る。区分する。)①古代からの歴史をひもとけば、日本と朝鮮半島とは分かちがたく結びついている。②彼は昼夜を分かたず仕事に励んだ。③川はしばしば国や民族を分かち、両岸に住む人々の気質や性格まで変えてしまう。④私たちはすべての秘密を分かち合う親友同士。だから、どんなことがあっても、約束は守らなければならない。文章の構成ーー第二部分文の承句•仮面の起源仮面は、人間が神様に限りなく近づくための道具であり、宗教との間に密接不可分な関係がある。演劇もその仮面の延長線にあると考えられる。新しい言葉•手っ取り早い•(方法として簡単であるさま。簡略だ。てきぱきとして、素早い。)①工場や住宅用地を確保するには、埋め立ては手っ取り早い方法だった。②気分転換にはやはり酒が手っ取り早くていいと、ようやくわかってきた。③その国を手っ取り早く知るには、庶民が買い物に行くマーケットヘ足を運ぶに限る。④生活のリズムが速いので、手っ取り早く食べられるインスタント食品は売れに売れた。神楽(かぐら)日本の神道の神事において神に奉納するため奏される歌舞。質問1、人が仮面などという奇想天外なものを作った原因については筆者はどう考えているか。元来は宗教的なことと関連した。人間は神を祭り、神に近づくために、仮面をかぶることで日常の存在の仕方とは別の存在し方を考え出した。質問2、「その意味では怪力乱神の仮面も人間そのものに近づくという皮肉な現象がある」とはどういうことか、なぜ皮肉なのか。人間を超えた力を持ち、人間離れをしなければならないはず神像が、人間にそのもに似ているという期待に反した皮肉な事実がある。言葉の学習~離れ①かれの考え方といい、やることといい実に日本人離れしている。②子供たちの理科離れが指摘されて久しい。③子供たちの活字離れ、読書嫌い傾向は、ますますひどくなっています。言葉の学習つく①私の心は動いたが、容易に、決心がつかなかった。②その件、どうけりがつくか、いま以て見当がつかんのですよ。③「都合がついたら、いつでも日本へいらっしゃい」④よく遊ぶ子ほど力がつくと今でも確信しているが、親たちは進学第一の勉強を望む。質問3、筆者は仮面と宗教はどのような関係にあると述べているか。密接不可分な関係。仮面は第一義には宗教的性質と機能を持つ。言葉の学習そもそも~というものは①そもそも人の気持ちというのは他人にコントロールできるものではない。②そもそもエアロビクスというのは一種の体操だから、その技術がある。③そもそも、現場に徹するというのは、新聞記者の取材にとって、ごく当たり前の、基本中の基本だ。巫女、または神子(みこ、ふじょ)主として日本の神に仕える女性のこと。舞姫(まいひめ)・御神子(みかんこ)と呼称される場合もある。古来は神楽を舞ったり、祈祷をしたり、占いをしたり、神託を得て他の者に伝えたり、口寄せなどをする役割であったが、明治になってからは神社において神事の奉仕をしたり、神職を補佐する役割へと変化していった。巫女出雲阿国(いずものおくに、(1572-没年不詳)は、安土桃山時代の女性芸能者。、夫婦共に歌舞伎の祖といわれる。新しい言葉•付きまとう•(いつもわずらわしいほどそばについて離れない。ある考え、感情がいつも頭から離れないでいる。)①あんな女につきまとわれたら、俺は損をするだけだ。②一生君にだけは幸せがつきまとっているようにと、ぼくはねがっている。③人間が社会的な動物である限り、個人個人がばらばらに存在することに不安がつきまとうのは自然のことである。新しい言葉「聖なる」:(⇒「稀なる」)(連体)〔文語形容動詞「聖(なり)」の連体形から〕神聖な。「聖なる教え」現代語の形容動詞の連体形「~な」は文語形容動詞の連体形「~なる」の「る」が脱落してできたもの。現在でも色々な単語や文章表現に文語形容動詞の連体形が使われている。新しい言葉★犬は特別なる小型愛玩犬を除いてはほとんど戸外で飼われている。★わが軍は果敢なる英雄的抵抗を試み、これに反撃を加えて…★ただ世にも不思議な事件の正確なる記録を残しておきたいと思っただけである。★親愛なる友よ、今日は君にかなり重大な報知を伝えたいと思う。新しい言葉•いざなう•(誘う。文章語。)①角山はへらへらと笑い、安川を窓ぎわの安っぽい応接ソファにいざなった。②心地よい秋風は人を文化の世界にいざないます。③教会で埋めつくされた聖像画は、見る者を神の世界へといざなう。文章の構成ーー第三部分文の転句•仮面の広義人の扮装、化粧などは広義的な仮面と思われる。これによって外面的に自分を変えることだけではなく、人間の内面のも変える。新しい言葉素顔」:「素~」は接頭語で、主に以下のような意味で使われる一、形容詞に付いて、非常に、ひどく、の意を表す。★すばしこい★す早い★素頓狂★素寒貧新しい言葉二、名詞などに付いて、平凡な、みすぼらしい、などの意を表す。★素浪人★素町人三、名詞などに付いて、ただそれだけの、ありのままの、純粋な、などの意を表す。★素顔★素足★素手★素うどん★素肌ファニー・フェース変装前後•変装前に•変哲もない、風変わりな顔、野暮•髪型を変え、唇や繭に化粧品でメーキャップを施し、優雅なドレスを着せる•変装後•類まれなるファッションモデル言葉の学習どちらかといえば①私はどちらかといえば、人前で発言するのが苦手である。②最近の大学生は、どちらかといえば男子より女子のほうがよく勉強して成績もよい傾向がある。言葉の学習どちらかといえば③コップのなかの焼酎をすべて飲むつもりはなかった。どちらかといえば、アルコールには弱い体質だ。④欧米ではどちらかといえば、夫が家計管理をやっているようだが、日本では妻がやるのが普通である。言葉の学習手を変え品を変え①彼女は手を変え品を変え私に保険加入を勧めてきた。②彼を説得しようと手を変え品を変えてみんなでやってみたが、彼があんまり頑固なのでうまくいかなかった。言葉の学習手を変え品を変え③悪質業者は、手を変え品を変え、消費者の心の隙を狙ってきます。④昨今のウイルスは手を変え品を変え、目まぐるしく変化しています。言葉の学習とすれば①人はみずからを恃むことなしには、この世には生きられず、とすれば、みずからの中の何を恃んで生きるのか。語学とか、才能とか、美貌とか、有力者との繋がりとか、家系図とか。言葉の学習