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第五章日本企業文化概論•ポイント：本章は文化、日本の文化、企業文化、日本企業文化の起源、内容、機能発展、特徴及び企業文化のケーススタディーなどの内容からなっている。5.1文化と日本の文化5.1.1文化ポイント：本節は文化の概念と役割などの内容からなっている。１．文化の定義人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。衣食住をはじめ技術・学問・芸術・道徳・宗教政治など生活形成の様式と内容とを含む。文明とほぼ同義に用いられることが多いが、西洋では人間の精神的生活にかかわるものを文化と呼び、技術的発展のニュアンスが強い文明とを区別する広辞苑より2.文明と文化の違い文明が“普遍的なもの”であるのに対して、文化は“特定の範囲のもの”であって常に限定的なものだということである。文明とは、全世界に普遍的に存在してその価値が人々から評価されているもの、文化とは限定的に存在することによってその価値を有するものなのである。文化には、限定的なものという特徴のほかに、もうひとつ特徴がある。それは、無意識・無自覚のうちにそれを有している人が多いことだ。つまり、人は、自らの文化を自覚・認識していないことが多い。2.企業にとっての文化の役割文化は企業の基本的な価値と信念を従業員に伝達するシンボル。★価値観★行動規範★物の見方・感じ方5.1.2日本の文化•ポイント：本節は日本文化の特徴、起源と形成要因などの内容からなっている。1.日本文化の基本的な特徴と起源(1)日本文化の開放性中国文化、朝鮮文化、インド文化、南蛮文化、紅毛文化、西欧文化、アメリカ文化(2)日本文化の主体性2．日本文化の基本的特徴の形成要因1.日本人の社会生活学歴社会、資格、印鑑、名刺、忘年会、女性の社会進出2．日本人の人間関係暑中見舞い、お中元、お歳暮3．日本人の暮らし高齢化社会、自動販売機、ゴミ、宅配便、車、サラリーマンの世界、通勤と会議、社員食堂、喫茶店、退社後、会社人間、配転、転勤、家族との関係、単身赴任、ボーナス、サラリーマンの付き合い、社員旅行、社宅5.1.3日本人の社会生活5.2企業文化と日本の企業文化5.2.1企業文化•ポイント：本節は企業文化の概念と役割などの内容からなっている。1．企業文化とは企業文化とは、企業組織における各個人が共有するものの見方や考え方あるいは価値信念を意味します。2．企業文化の構成要素企業文化は次の5つの要素により構成されている。(1)同一の危機感2．企業文化の構成要素(2)共通の価値観2．企業文化の構成要素(3)自信と信頼(4)感謝の気持ち(5)高い欲求水準3．企業文化の機能★企業文化の対内的機能企業文化は、意思決定を迅速にしたり、組織内の調整を容易にするという機能をもちます。共有された価値観としての企業文化は企業における各個人の判断基準にもなります。価値観や判断基準が共有されていれば、意思決定のすり合わせが容易になり意思決定が早くなりますし、各個人の行動の調整もしやすくなるのです。3．企業文化の機能★企業文化の対外的機能企業文化は、企業のイメージと評判を外部に作り出すという機能ももちます。経営方針等のビジョンは経営層が対内的だけでなく対外的にも提示することで、企業の共有された価値観や姿勢を企業外部の利害関係者に明示することになります。そのような提示されたビジョン及びそれに基づいた企業行動を目の当たりにして、企業外部の利害関係者はその企業へのイメージを抱き、評判を作り出すことになります。3．企業文化の機能★企業文化の逆機能企業文化の逆機能とは企業文化が企業経営に対しマイナスの作用を及ぼすことを意味し、具体的にそれは環境変化に対する柔軟性を損なうことです。企業文化の逆機能が企業にとって重大な問題になるのは、企業が大きな変革を行わなければならない場合である。5.2.2日本企業文化の特徴1.団体精神と創造精神終身雇用制、年功序列制、業界組合2.伝統的な心理影響強いものになりたい実務主義忠と和の心理3.宗教からの影響4.歴史からの影響大化革新、明治維新、二戦後5.戦後日本政府と企業の関係5.2.3企業文化のケーススタディーハイアールモトローラ第六章日本企業の組織構造と経営理念•ポイント：本章は日本企業の組織構造、日本企業の経営理念などの内容からなっている。1.「タテ」の社会構造2.日本の「家」制度家本位6.1日本企業の組織構造6.1.1日本の「タテ」の社会構造1.機能（職能）別組織機能（職能）別組織（FunctionalStructure)は、企業組織の基本の形態です。総務・経理・人事・企画・研究開発・製造・物流・営業などの専門に分かれ、機能単位で専門性の向上を目指しています。組織の創業時は、単一事業であり、この機能別組織の形態です。6.1.2日本企業の組織構造について機能（職能）別組織機能（職能）別組織※購買、生産、財務・経理、販売、人事といった機能（職能）ごとに部門化された組織構造•企業・組織の発展の初期に多く見られる社長購買生産販売研究開発財務経理人事機能別組織の基本形機能別組織の長所と短所（１）専門化の効果：各機能分野における専門化を通じて、技能、知識の高度化が図れる（２）規模の経済性：各機能における規模の経済（３）統一的な業績評価基準の欠如（４）部門間コンフリクト：（３）と関連機能別組織が有利な条件•製品・サービス、事業の数と種類が相対的に少ない場合•トップ・マネジメントが強力な調整力を持っている場合•環境が相対的に安定している場合•事業の多様化（多角化）→事業部制•事業（製品グループ）、地域、顧客グループなどを基準とした組織の部門化社長A事業部B事業部本社スタッフC事業部事業部制組織の基本形販売製造経理販売製造経理販売製造経理2.事業部制組織事業部制組織の特徴と利点（１）複数の事業、製品グループを有する企業：事業部制を基本とする場合が多い（２）各事業部がプロフィット・センター（profitcenter）：生産計画、費用や原価だけでなく利益まで責任をもつこと（３）各事業の完結性（４）トップ・マネジメントの負担軽減：業務、管理レベルの意思決定の負担軽減事業部制の弊害（１）機能、投資の重複：複数の事業部間で重複した機能、投資が発生する可能性（２）事業部設定の曖昧さ：事業部の定義と関連（３）事業部を横断する事業への対応：事業部間の新規事業への対応対応策（１）事業部制と機能別組織の混合形態（２）SBU（StrategicBusinessUnit:戦略的事業単位）設定１）事業部では、既存事業の完結性、効率追求２）事業部を企業戦略的視点でグループ化：SBU３）「事業本部」などの名称3.マトリックス組織•マトリックス組織（MatrixOrganization）–2つの基準による部門化A事業B事業C事業購買生産販売経理人事社長マトリックス組織の特徴（１）複雑でダイナミックな環境に対応するために生まれた組織：NASAの衛星プロジェクト（２）2つの基準による部門化：事業部制と機能別部門化など（３）命令一元性に反する：ストレス発生（４）全社的に採用している企業は多くない部分的に採用：自動車メーカーの製品開発におけるマルチ・プロジェクトなど分業制を改善で組織のフラット化ファンクショナル・サイロ販売サービス設計企画開発チーム化サービス販売設計企画開発・・・・・・チーム化サービス販売設計企画開発・・・・・・A.ピラミッド型の「背の高い」組織から、よりフラットな組織へトヨタの組織改革におけるフラット化の側面部長副部長係長課長副課長次長部長室長グループ・リーダー部付グループ・リーダー従来改革後B.タテに細分化された組織から、大ぐくりの組織へ組織改革による部の内部構造の大ぐくり化一部平均4.4課一部平均2.4室従来の部改革後の部課課課課室室B.タテに細分化された組織から、大ぐくりの組織へトヨタの組織改革の二側面従来改革後部長副部長課長係長部長室長グループ・リーダー6.2日本企業の経営理念、経営哲学ポイント：本節は経営理念の概念、内容、位置づけ、効果などを説明する。1．経営理念とは松下幸之助のいう経営理念とは、“この会社は何のために存在しているのか。この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行なっていくのか”についての基本の考え方である。また、経営理念は、綱領や社是・社訓といった形で表すこともあるが、いずれも次のような、経営者の経営に対する思い入れや経営姿勢を表したものといえる。経営者が会社をどう育てようとしているか。経営者自身を含めて全従業員がどのような心構えで仕事に従事するのか。2．経営理念の内容（１）経営目的を明確にするこの会社の目的は何か、経営者自身何のために経営しているのかを明確にしておかなければならない。順調に業績を伸ばしている会社や、新たに経営理念を策定した会社には、次のような特徴がある。社会に対して何ができるのかを明確にし、積極的に貢献していきたいと考えている経営姿勢。従業員や人間の幸福を実現しようとする経営姿勢地球環境に優しい経営革新や進歩を目指した経営姿勢（2）経営方法を明確にする経営理念の実現を目指して、経営者は実際に経営していくわけであるが、その方法にはさまざまなアプローチ方法がある。その中で自社に適した方法を明確にすることが重要である。（3）経営の革新の方向を明確にする経営方針や経営目標、経営戦略は、経営環境によって変化していくが、経営理念は不変なものとして受け継がれていく。しかし、経営機能の本質的課題は「革新」である。とくに、現代の激変する環境変化に対応し、会社の維持・存続、発展を図るためには、理念を作り変えなければならないケースも大いにあり得る。そのようなときには、思い切った変革の内容を盛り込んだ理念をつくらなければならない。3．経営理念の生み出す効果（1）一体感経営理念は、組織の共通の価値を明らかにし、組織と従業員の一体感を高める効果がある。価値の共有による一体感は、規則や賞罰以上に従業員のモチベーションを高めるものである。2.やる気を生み出す発火点経営理念は、会社の社会的役割や責任、会社の目的、共通の価値基準を明確にする。このため従業員は「なぜこの仕事をしているのか」「なぜこの仕事が重要なのか」「この仕事は会社のどの部分に位置付けられるのか」など、自己に与えられている仕事の意味を理解することができる。これにより、社会に対する貢献意欲や自己実現の欲求が、さらに明確になり、やる気を生み出す発火点になるのである。3.会社宣言会社の経営理念を内外に発表することは、会社の社会的役割や責任、会社の目的、共通の価値基準を宣言することであり、コーポレート・アイデンティティー（CI：企業イメージの統一）の一部として会社の宣伝効果もある。4.会社の憲法経営理念は会社のルールの基であり、行動規範を示すものである。図1社長（あなた）や経営幹部が経営理念を実践していると思ますか。（社長、従業員アンケート）松下電器産業株式会社松下電器産業株式会社産業報国の精神公明正大の精神和親一致の精神力闘向上の精神礼節謙譲の精神順応同化の精神感謝報恩の精神本田技研工業株式会社•基本理念人間尊重三つの喜び（買う喜び、売る喜び、創る喜び）•社是わたしたちは、地球的視野に立ち、世界中の顧客の満足のために、質の高い商品を適正な価格で供給することに全力を尽す。•運営方針●常に夢と若さを保つこと。●理論とアイディアと時間を尊重すること。●仕事を愛しコミュニケーションを大切にすること。●調和のとれた仕事の流れを作り上げること。●不断の研究と努力を忘れないこと。第一章日本企業の就職規則・雇用制度•ポイントと概要：この章は、日本企業の就職規則、日本の雇用制度の内容からなっている。1.1就職規則1.1.1就職規則の関連説明•1.就職規則の役割従業員が安心して働けるような明るい職場を作るためには、就業規則により労働条件や待遇の基準をはっきり定めることが必要です。就業規則では、労働時間