1第10回環境専門委員会議事録要旨1.日時平成21年12月21日(月)14:00~16:102.場所名駅ABC貸会議室(第5会議室)名古屋市中村区3.出席委員委員長大東憲二委員上砂正一、姜永根、坂部孝夫4.委員以外の出席者石原産業(事業者)石原化工建設、森本工産(安全管理および調査担当会社)5.議題1)平成21年度の調査と対策の進捗状況について2)裸地の舗装関係3)モエジマシダによる砒素汚染浄化試験査4)BS工場宙水処理試験5)工場敷地詳細調査・追加調査(途中報告-2BS工場敷地、北西部)6)今後の対応計画7)技術評価委員会(仮称)について6.議事概要1)平成21年度の調査と対策の進捗状況について[石原産業]・資料1に基づき、宙水対策、BS生産工場周辺地域の追加調査、工場北西地域の追加調査(ファイトレメディエーション、地下水調査)の進捗状況を説明・当委員会に関る調査・対策について平成22年度予算のアウトラインを申請した。予算の精査は年明け後になる。・定期修理は予定通り実行され、一番長期であったBS生産工場も11月末までに工事を終了。・BS生産工場のNo.5,No.8井戸の試験揚水は定期修理工事で作業を中断していたが、12月10日に合成第5工場のウェルポイントの揚水を再開した。合成第4工場のトレンチについては、近隣で未だ工事をしているので揚水の再開はしていない。・水処理プラントについては仕様を検討中で、BS工場の水処理プラントについては社内のエンジニアリング部署に検討を要請した。本件については後ほど今後の対応計画の時間に中間報告する。・浮遊粉塵の調査を本年2・6・10月にそれぞれ場所を変えて実施した。あと2箇所くらい調査したい。2・(専門委員)今回の予算は概算を申請し、委員会の審議を受けながら2月くらいに詳細を詰めていく予定なのか?(石原産業)今回の委員会でご指摘がある事などを踏まえて、来年1月に実施される予定の予算精査時にはより精度のある予算にしたい。(専門委員)今まで浮遊粉塵については議論していなかったが、何か問題になってきたのか?(石原産業)浮遊粉塵は、これまでも「問題になっていない」と定性的にしか報告していなかったが、調査することで定量的に評価したい。2)裸地の舗装関係[石原産業]・資料2に基づき説明・工場北西域の中でも電解プラント前の道路については、現在アスファルト舗装をしてあるが、ここは砒素、鉛の土壌含有量のホットスポット的な区域であるので、土壌を掘削しての不溶化工事を計画している。・(石原産業)工場の北西域は裸地が多い。工場緑地エリアとはしていないので、これらの裸地は雨水浸透防止を目的として計画的に順次舗装をしていきたい。また、排水溝を適切に設置して雨水は排水したい。(専門委員)裸地は工場全体で約4.7万㎡に対して、今回までの報告での舗装地の合計面積は1千㎡弱程度で、全体の中での比率は少ないが、これは今後どの程度まで舗装していくのか?(石原産業)土壌汚染のリスクの高い所を優先して、危険物エリア等の法規制のない場所から、計画的に舗装を進める。当工場は近隣他社の工場に比して裸地が多いので、雨水の濁度の面でも舗装化を進める方が良い。長期間を要するかも知れないが裸地の舗装化を順次進めたい。(専門委員)裸地の舗装も有効であるが、できるだけ緑地化も念頭において進めた方がよい。3)モエジマシダによる砒素汚染浄化試験[石原産業]・資料3に基づき説明・(専門委員)(シダ生育が順調な)比較工場の土壌砒素濃度の変化はどのようなものか聞いているか?(石原産業)シダの生育に従って土壌の砒素濃度は低下方向にあるのは間違いないが、刈り取った後で土壌含有からの溶出により濃度のリバウンドがある。濃度が上下をしながら相対的には低下している。ただ、その低下によって何年間で当該工場の浄化が完了するかという目途までは得ていない。比較工場と四日市工場とでシダの生育に差が生じたのは土壌の差によるものもあるであろうが、植え付け時期(比較工場5月、四日市工場7月)が相当影響を与えているようだ。このシダは、植付け後70日間は生育が鈍く70~140日で急激に成長している。比較工場は5月に植付けて、急激に伸びる時期に温暖な降雨期があるが、四日市工場の場合は7月に植付けて、急成長期には気温が低下する頃になってしまった。当手法(ファイトレメディエーション)の採否を決するのは、シダが当工場で越冬できるかどうかにあると思われる。比較工場より冬芽のある成長した株を譲り受けたの3で、今後、それを四日市工場に植えつけて越冬できるかの検討を継続する。・(専門委員)同じ四日市工場内でも区画Ⅱ、Ⅲによって生育に差がある。その原因も明確にしておかないと、比較工場の株が越冬できると判明しても四日市工場でうまく生育するかわからないのではないか。(専門委員)区画Ⅱ・Ⅲは海岸沿いであるから塩害もあるのではないか。(石原産業)モエジマシダは海岸の崖に自生している植物であるから塩分には強いと思われる。区画Ⅱ・Ⅲは地歴では鉱滓の置き場であったから、化学的な土壌分析も必要だが、水はけとかの栽培条件なども検討を要する。(専門委員)当手法の目的は、シダが年中繁茂している状態にする事であり、そうなれば地面表層に降った雨水もシダで吸収する。植付け後3ヶ月くらいは裸地の状態に近いので、この間に結構地下浸透してしまう可能性もある。冬場は降雨が少ないので、それ以外の季節は、植え付け時期を選ぶことで春先から12月頃までの間にシダが繁茂した状態が継続するようなことも検討すべき。雨水浸透を防止するという目的では、シダが成長しない間は木本類の間や影になるようにするといった方法も考えられる。また、生育しても根の深さがどの程度で、土壌中の含有砒素がどの程度シダに移行するのか等のマスバランスも考慮する必要がある。根の下の土壌の汚染をどのように浄化するかも考える必要がある。この手法の位置づけも考える必要がある。(石原産業)当手法が仮に有効であると評価されても、表層の限定的な浄化方法という位置づけに過ぎず、補助的な技術として、他の手法と組み合わせて取り入れるべきと考えている。4)BS工場宙水処理試験[石原産業]・資料4に基づき説明・(専門委員)曝気したVOCsはどこにいくのか?液は加温するのか?1・2ジクロロエタンは曝気に5時間くらいもう少し説明してほしい。(石原産業)溶液中から曝気したVOCsは空気中に移行するが、その空気は捕集しVOCsは活性炭に吸着させる。加温した方が曝気の効果は高くなる。1・2ジクロロエタンはビーカー実験器のエアーの効率が悪かったようだ。実際の浄化設備ではエアー分散するなどで処理時間は短縮できると思う。(専門委員)この実験では気液比が2~1である。通常は気液比を60以上取れば、液中濃度が(実験データの)100分の1くらいになる。この実験は空気量が少ない。気液比を60以上にすれば浄化時間1時間が1分程度に短縮する。今回の実験ではエアレーションで確実に浄化が可能であると判った。四日市工場では砒素も含んでいるが、砒素は鉄と結合して砒酸鉄にすればよいので、曝気の第二段階で硫酸第一鉄等を用い、PAC等で凝集させれば効率良く浄化できる。液の加温には燃料が必要でコストパフォーマンスが悪くなる。ブロワの連続運転で排気温度が50~60℃くらいに上昇するので、エアレーション後の相対温度も高くなり活性炭吸着効率も良くなる。(専門委員)エアーの入れ方も泡の大きさによって効率が変わる。泡が細かければ比表面積が大きくなるので効率がよい。抜気効率は水深にも関係してくる(もう少し検討が4必要ではないか)。(専門委員)但し、マイクロバブルは泡が細かすぎるので、水の中で泡自体の滞留時間が長くなり、曝気効率はあまり良くない。BS工場の揚水のように砒素と鉄を処理する場合は、通常の孔のたくさん開いた散気管では、水垢が下に沈殿するので目詰まりするので、エアレーター等の目詰まりしない形態をとる必要がある。(専門委員)凝集沈殿後のろ過はどのような方法(条件)でおこなったのか。(石原産業)(今回はラボスケールの検討なので)ろ紙で行った。(専門委員)ろ紙上の砒素分は測定したのか。(石原産業)液側のみの測定で、ろ紙残渣の砒素の測定はしていない。5)工場敷地詳細調査・追加調査(途中報告-2BS工場敷地、北西部)[森本工産]・資料5-1BS工場敷地及び周辺部の追加調査に基づき説明・(専門委員)宙水に高濃度の1・2ジクロロエタン、ジクロロメタンの汚染があると思われるが、問題は宙水層がどこで切れているかをしっかり把握しておく必要がある。地下水の流れ方向であふれる可能性があるので、第一帯水層への流出阻止の為にも確認が必要である。BS工場内での宙水中の汚染物質の除去が必要である。・資料5-2工場北西部詳細調査、追加調査に基づき説明・(専門委員)BS工場敷地では宙水と第一帯水層の地下水には相関の影響がない。北西部では圧力伝播が連動しているとの報告であったが、どういうことか?シルト層の上と下で連動しているという事であれば、(シルト層の)どこかで穴があいて上と下がくっついている。或いは水位が同じであるようなイメージになる。それぞれが潮汐と接触しているのであれば、圧力伝播というより、それぞれが海からの影響を受けている事になる。同じような変動をしていても、実際にはシルト層の上下で縁が切れているのかもしれない。(森本工産)第0帯水層(宙水)においても、第1帯水層と同様に潮汐の応答が見られている。下方(第1帯水層)からの圧力伝播の可能性もあるし、シルト層が北西部の途中で切れているので、潮汐の影響で測方横の方から影響を受けているのかもしれない。どちらの影響をより受けているかは特定できていない。(専門委員)第0帯水層は不圧帯水層で、第1帯水層は被圧帯水層であるとしたら、圧力伝播の関係が成り立つのか疑問である。(森本工産)第1帯水層は薄いシルト層の下であり、かつ30mもすればそのシルト層も無くなるので、いわゆる一般的な「被圧帯水層」といえるかどうか分からない。(途中休憩15:30~15:40)6)今後の対応計画[石原産業]・資料6に基づき説明・(専門委員)BS工場の宙水中VOCsを曝気処理と北西地域の地下揚水の中和、鉄処理をしてきれいな排水になるのであれば、研究系排水処理設備やGSシックナーなどの中間処5理設備を経由せずに、直接、砂濾過処理設備に送っても良いのではないか。もったいないと思う。また、新たに地下から揚水したものを入れると、中間の処理設備の能力がパンクしないか。(石原産業)中間の排水処理設備の能力面では問題ない。工場では何があるか判らないので、砂濾過処理設備は最後の砦として位置づけ、中間の排水処理設備を経由してから砂濾過設備に送る方が安心である。7)技術評価委員会(仮称)について[石原産業]・資料7に基づき説明・(石原産業)(浄化対策工事の処理スキームに関して)平成21年度は残り3ヶ月あるので、当社としては3月末までに公募をかけ始めるように作業をすすめるように希望致します。・(専門委員)いよいよ来年度から本格的な浄化対策が始まりそうだ。リスクマネージメントの観点から、対策の目標と優先順位をきちんと決める必要がある。これは技術評価委員会で、これから決めていくことになるだろう。リスクには、コンプライアンスや財務面の問題があるが、今までは敷地内の調査を実施してきたが、これから対策をやるにあたっては、敷地外への影響をどのように見ていくのかが重要な項目になってくる。一つが海洋への影響であるし、周辺企業への影響や逆に「もらい汚染」などについて考える必要があろう。周辺企業とは定期的な協議会等の話し合いの場が必要である。また、当委員会などで決まった事を行政に対して適正に報告したりすることで、行政とリスクコミュニケーションをはかることが必要である。そういう事を今から準備が必要である。(石原