第2章環境の現況と対策第1節「健康で安心して暮らせる安全なまち」をめざして第2節「潤いと安らぎを感じる快適なまち」をめざして第3節「地球環境にやさしい循環型のまち」をめざして第4節「参加と協働により環境を守り育てるまち」をめざして910第1節「健康で安心して暮らせる安全なまち」をめざして1-1大気汚染の防止(1)現況市では、一般的な大気汚染の状況を把握するための一般環境大気測定局を3局、道路周辺における状況を把握するための自動車排出ガス測定局を2局整備しています。各測定局には、環境基準が設けられている物質を中心に常時監視測定機器を整備しているほか、気象観測のための機器も設置しています。これらの測定機器から得られたデータは、環境基準の適合状況や大気汚染に関する緊急時の対策に利用されているほか、環境影響評価や広域的汚染のメカニズムの解明、公害防止計画などの策定のための基礎資料にも利用されています。①光化学オキシダント光化学オキシダント注意報等の情報を防災行政用無線の利用や教育関係施設等への直接連絡により、市民・事業者等に情報の周知徹底を図るとともに、ばい煙の排出量の削減や自動車の運行の自主的制限について協力を求めています。平成18年度の光化学オキシダントの注意報発令延日数は12日(埼玉県南西部地域)で、警報発令(光化学オキシダント濃度の1時間値が0.20ppm以上の場合に発令)はありませんでした。また、光化学大気汚染によると思われる被害届出もありませんでしたが、光化学大気汚染によると思われる健康被害が2件発生しました。■光化学オキシダント注意報等の発令状況010203040平成1357911131517[年度][発令回数]<参考>光化学オキシダントは、工場・事業場や自動車から排出される窒素酸化物(NOx)や非メタン炭化水素(NMHC)などを主体とする一次汚染物質が、太陽光線の照射を受けて光化学反応により二次的に生成されるオゾンなどの物質の総称であり、いわゆる光化学スモッグの原因となっています。光化学オキシダントは強い酸化力をもち、高濃度では眼やのどへの刺激や呼吸器へ影響を及ぼすほか、農作物等にも影響します。光化学オキシダントには、「1時間値が0.06ppm以下であること」という環境基準が設定されており、光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppm以上で、気象条件から見てその状態が継続すると認められるときに、埼玉県知事が光化学オキシダント注意報等を発令します。11②窒素酸化物■二酸化窒素の年平均値の推移一般的な大気汚染の状況や道路周辺における状況を把握するために、一般環境大気測定局(けやき台・東所沢・北野測定局、以下「一般局」という。)や自動車排出ガス測定局(航空公園・和ヶ原測定局、以下「自排局」という。)で、二酸化窒素を測定しています。平成18年度には、全ての測定局で二酸化窒素の環境基準を達成しており、その年平均値も近年横ばいの状況で推移しています。0.000.010.020.030.04昭6062平成1357911131517[年度][ppm]一般局平均自排局平均<参考>一酸化窒素(NO)・二酸化窒素(NO2)等の窒素酸化物(NOx)は、主に化石燃料の燃焼に伴って発生し、その発生源としては工場等の固定発生源と自動車等の移動発生源があります。NOxは、酸性雨や光化学大気汚染の原因物質となり、特に二酸化窒素は高濃度で呼吸器に悪影響を及ぼします。窒素酸化物のうち二酸化窒素については「1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること」という環境基準が設けられ、その達成に向けて工場等から排出されるNOxの排出規制が行われているほか、首都圏に位置する当市は「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(自動車NOx・PM法)の特定地域に指定され、自動車1台ごとの排ガス規制の強化やNOx等の排出量が少ない車両への代替を義務付ける車種規制等が行われています。③浮遊粒子状物質ア浮遊粒子状物質■浮遊粒子状物質の年平均値の推移一般局・自排局の5測定局で、浮遊粒子状物質を測定しています。平成18年度は、全ての測定局で浮遊粒子状物質の環境基準を達成しており、年平均値も近年横ばいの状況で推移しています。0.000.020.040.060.080.10昭6062平成1357911131517[年度][mg/m3]一般局平均自排局平均<参考>浮遊粒子状物質(SPM:SuspendedParticulateMatter)とは、大気中に浮遊する粒子状の物質(浮遊粉じん、エアロゾルなど)のうち粒径が10μm以下のものです。SPMは、微小なため大気中に長時間滞留し、肺や気管等に沈着して高濃度で呼吸器に悪影響を及ぼします。浮遊粒子状物質については「1時間値の1日平均値が0.10mg/㎥であり、かつ、1時間値が0.20mg/㎥以下であること」という環境基準が設けられ、その達成に向けて工場・事業場からのばいじんや自動車からの粒子状物質等の排出規制が行われています。イ降下ばいじん■5地点における降下ばいじんの年平均値の推移市では、昭和55年度から継続して降下ばいじんを測定し、現在、5地点(北秋津小・伸栄小・旧市庁舎・若松小・山口小)で調査を行っています。平成18年度の5地点の年平均値は2.8t/km2/月で近年横ばいの状況で推移しています。0246810昭555861平成147101316[年度][t/km2/月]<参考>降下ばいじんとは、物の破砕や堆積、土壌の巻き上12げに伴い飛散する大気中のすす・粉じん等の粒子状物質のうち比較的粒が大きく沈降しやすい粒子のことです。④二酸化硫黄0.000.010.020.030.04昭6062平成1357911131517[年度][ppm]昭和60年度の測定開始以来、平成11年度まで、環境基準を超過したことはなく、年平均値も低濃度で推移している状況でしたが、平成12年7月に噴火した三宅島雄山の火山活動に伴う影響により、平成12年度には東所沢測定局での環境基準を達成しませんでした。その後、平成13年度以降は、雄山の火山活動の縮小に伴い、全ての測定局において環境基準を達成しています。■二酸化硫黄の年平均値の推移<参考>二酸化硫黄(SO2)は、硫黄分を含む石油や石炭の燃焼により生じて、四日市ぜんそく等の公害病や酸性雨の原因とされています。二酸化硫黄による大気汚染は、高度経済成長期の化石燃料の大量消費によって急速に悪化しました。二酸化硫黄については、「1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること」という環境基準が設けられています。⑤一酸化炭素0246810昭6062平成1357911131517[年度][ppm]■一酸化炭素の年平均値の推移自排局(航空公園測定局)では、一酸化炭素を測定していますが、昭和63年の開局以来、環境基準を超過したことはなく、年平均値も低濃度で推移しています。<参考>一酸化炭素(CO)は、燃料等の不完全燃焼により生じ、自動車が主な発生源とされています。COは血液中のヘモグロビンと結合して酸素運搬機能を阻害する等の健康への影響のほか、温室効果のあるメタンガスの寿命を長くする物質として知られています。一酸化炭素については「1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること」という環境基準が設けられ、自動車の排出ガス規制が行われています。これによりCO濃度は全国的に昭和40年代頃より改善され、近年は低いレベルで推移しています。13⑥その他の有害大気汚染物質■トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン・ジクロロメタンの年平均値の推移0.0000.0020.0040.0060.0080.010平成9101112131415161718[年度][mg/m3]一般局平均自排局平均■ベンゼンの年平均値の推移市では、平成9年10月から一般局(東所沢・北野測定局)及び自排局(和ヶ原測定局)で、有害大気汚染物質モニタリングを開始、平成13年度には、観測点にけやき台測定局を追加し、現在、4測定局においてモニタリングを実施しています。平成18年度は、全ての測定局において環境基準を達成しています。<参考>大気中には、濃度が低くても長期的に曝露ばくろされた場合に健康影響が懸念される有害物質が存在します。現在、このような有害な大気汚染物質のうち健康リスクが高いと考えられる22種類の物質が優先取組物質として指定され、重点的に対策が推進されています。0.0000.0020.0040.0060.008平成9101112131415161718[年度][mg/m3]トリクロロエチレンテトラクロロエチレンジクロロメタンまた、優先取組物質のうちベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレン、ジクロロメタンについては、各々次のとおりの環境基準が設けられています。・ベンゼン年平均値が0.003mg/㎥以下であること・トリクロロエチレン年平均値が0.2mg/㎥以下であること・テトラクロロエチレン年平均値が0.2mg/㎥以下であること・ジクロロメタン年平均値が0.15mg/㎥以下であること(2)大気汚染の防止①自動車排出ガス対策の推進ア交通渋滞緩和対策の推進交通渋滞の緩和を図るため、都市計画道路の整備が急がれています。都市計画道路の中でも、特に4路線(「所沢村山線」・「北野下富線」・「北原安松線」・「松葉道北岩岡線」)を重要な路線として位置付け、整備を進めています。(※北原安松線については、平成19年8月に重点区間の整備が完了しました。)また、県施行により、飯能所沢線、東京狭山線の主要幹線道路の整備が進められています。なお、交通渋滞の原因のひとつでもある交差点の改良についても、計画的に進めています。都市計画道路においては、平成18年度中に道路用地として3,164.24㎡を取得しました。イ公共交通機関の利用促進公共施設利用促進、交通不便地域の解消および高齢者や障害者など交通弱者の交通手段の確保を主目的として、市内循環バス(ところバス)を運行しています。運行コースは、平成11年度と平成16年度に増設・変更等を行い、現在は東西南北4路線6コースとなっています。平成18年度の利用者数は、332,513人となり、平成17年度に比べ約28,000人以上増加14しました。ウ低公害車の普及市では、公用車への低公害車の導入を計画的にすすめており、買い換え時には、天然ガス車、ハイブリッド車及び新長期規制適合車等を導入することとしています。エノーカーデーの普及啓発の推進市職員の率先行動として、マイカー通勤の自粛を実施しています。平成18年度には、「本庁舎:毎月10%(2回/月程度)」「本庁舎以外:毎月5%(1回/月程度)」の自粛目標に対して、本庁舎では17.07%、本庁舎以外では11.96%の自粛率となっています。②工場・事業場等への防止対策の推進昭和59年4月に大気汚染防止法に基づく政令委任を受け、工場・事業場に設置されているばい煙発生施設などの立入検査を実施しています。各施設に定められている排出基準などの適合状況を確認するため、ばい煙の測定や燃料中に含まれる成分などを検査し、ばい煙の排出等に関する指導を行っています。■大気汚染防止法等に基づく規制対象施設の立入検査状況(平成18年度)[延べ数]届出数上段:事業所数下段:施設数立入検査数上段:事業所数下段:施設数備考133185ばい煙発生施設[ボイラー、金属溶解炉、廃棄物焼却炉等の一定規模以上のもの]258308K値規制、濃度規制、総量規制等煙道測定7件833一般粉じん発生施設[鉱物又は土石の堆積場等の一定規模以上のもの]39140管理基準00特定粉じん発生施設[混合機、切断機等の一定規模以上のもの]00濃度規制(アスベスト)242